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超大国の外交政策を見通すための最良の一冊。ブッシュ外交などと言われるが、外交はもちろん時の大統領の性格だけに負うものではない。建国以来、今日にいたるまでの政策を様々な視点から徹底的に分析する。(講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
アメリカ=唯一の超大国という貧困なイメージしか持っていなかったが、外交史を通して、苦悩してきた様が垣間見えた。日本の方向性を探る上でも、示唆的な部分が多々ある。偏見を正し、歴史から学ぶ姿勢すら持てるようになった。 ・アメリカの国防予算は一国だけで、世界の軍事費の40~45%を占め、2位から11位ま...続きを読むでの国の合計を上回る(2005年) ・1.ハミルトニアン:海洋国家、対外関与に積極的、国力の限界に楽観的。2.ジェファソニアン:大陸国家、選択的な対外関与、国力の限界に自覚的。3.ウィルソニアン:普遍的な理念を外交目標に。4.ジャクソニアン:国威の発揚を重視、軍事力に傾斜 ・リンカーンの独裁ぶり。 ・ベトナム戦争の悲劇は、南北問題として取り組むべきを東西問題にしてしまったこと。 ・11.9(ベルリンの壁崩壊)こそ、9.11以上に国際政治の大転換。 ・(日本は)北朝鮮問題のような東アジア地域の安全保障問題では、アメリカに見捨てられる恐怖を意識し、イラク問題や国際テロ対策などグローバルな安全保障問題では、対米協力のために危険に巻き込まれるという恐怖が強い。
建国からイラク戦争までのアメリカ外交を時の大統領の政策・その背景にある思想を基に考察している。アメリカ外交入門書として優れた本といえる。
外交に関しては、これまで関心が薄かったが、政府の外交姿勢にも、それに対する世の中の批判にも、納得がいかないので、自分の考えを整理するために、何か良い入門書が無いかと思い手に取った本。 アメリカ外交の潮流を、①北東部の利害を代表して国際通商を重視する海洋国家志向の「ハミルト二アン」、②国内の安定、発展...続きを読むを重視する大陸国家志向の「ジェファソニアン」、③アメリカは民主主義を世界に広める使命を持つと考える「ウィルソニアン」、④アメリカの安全と繁栄を重視し、力の外交を展開する「ジャクソニアン」の4つに分類し説明しているので、それぞれの時代のアメリカ外交の姿勢が理解しやすい。また、外交そのものを分析する上での、基本的な視点を与えてくれる。 参考文献が、充実しているのも良い。 また、最後の章に引用されている福沢諭吉の言葉も良い。 「外交の事を記し又これを論ずるに当りては自ら外務大臣たるの心得を以てするが故に一身の私に於ては世間の人気に投ず可き壮快の説なきに非ざれども紙に臨めば自ら筆の不自由を感じて自ら躊躇するものなり。苟も国家の利害を思うものならんには此心得あるものにして始めて共に今の外交を論ずる可きのみ。」
テレビ番組にも出演する同志社大学法学研究科の村田晃嗣教授が書く、よくも悪くもお手軽な20世紀アメリカ外交史の概説である。 先に佐々木卓也編『戦後アメリカ外交史』(有斐閣アルマ)を読んでしまうと、本書の内容にはいささか不満を感じてしまう。 『戦後アメリカ外交史』は大学の教科書として書かれて...続きを読むいるのに対して、本書は一般人向けの読みやすさを考慮しているので、一概に比較するのは不当ではあるが。 本書のわかりやすい点は、アメリカの歴代大統領を、18世紀から20世紀初頭に現れた4人の大統領を典型として、ジェファソニアン、ハミルトニアン、ジャクソニアン、ウィルソニアンの4類型(とその組み合わせ)に分類しているところにある。 全般的にそれぞれの大統領の性格と主要閣僚との関係で政策決定を説明しているように見受けられるが、事実関係には触れずに抽象的な方向性(上述の類型化など)にとどまっているところはフラストレーションを感じてしまう。 さほどにマニアックな人物は出てこないが、一般向けに徹するなら、あまり多くの人物名を出さずに、外交政策のモデルの変遷を説明した方がよかったのでは、と個人的には思う。人物記述に偏るのはいただけない(同じ著者の『米国初代国防長官フォレスタル』(中公新書)などもその傾向が強いので、おそらく著者の趣味なのだろう)。 著者自身は、今までの「強引で一面的な」アメリカ外交論への反駁として本書を書いたと言っているが、文章の端々に冷戦史の第一人者ギャディスの影響が読み取れるし、そこまで目新しい主張も無かったと思う。また、ヴェトナムやら中国が出てくるのに、冷戦外交の焦点であったヨーロッパへの視点が全く述べられていないのは不十分と言わざるを得ない。 結論として、著者が意図した新しいアメリカ外交像というほどのものは読み取ることができなかったが、本書は著者自身が言うように「はなはだ不完全なスケッチにすぎない」ということを予めふまえておけば、手軽に楽しめる著作だろう。
[ 内容 ] 「ブッシュ外交」への感情論、アメリカ「帝国」論議を超える外交・国際問題を学ぶための最良の教科書。 [ 目次 ] 第1章 アメリカ外交を見る眼 第2章 建国から大国へ 第3章 二つの世界大戦―内向的な大国 第4章 冷戦の起源と本格化―超大国の自覚化 第5章 冷戦の変容―ベトナム戦争とデ...続きを読むタント、多極化 第6章 新冷戦から冷戦の終焉へ―カーターとレーガン 第7章 ポスト冷戦期―G.H.ブッシュとクリントン 第8章 九・一一からイラク戦争へ―G.W.ブッシュ外交 終章 これからのアメリカ外交と日本 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
「朝まで生テレビ」などで“アメリカ=悪”で議論をする論客に鋭い指摘をし、最近メディアでよく見かけるアメリカの外交・安全保障が専門の著者が建国以来のアメリカ外交を語ってくれます。著者は歴代大統領をウォルター=ミードにならって「ハミルトニアン」「ジェファソニアン」「ウィルソニアン」「ジャクソニアン」の四...続きを読むつに分類して論じています。政治学が専門の著者ですので我々歴史専門とはまた違った視点で、慣れない反面多くの示唆を与えてくれる内容でした。イラク戦争の失敗からアメリカ外交を批判する著作は数多ありますが、彼らはアメリカ的な「善悪二元論」を自分たちの「善悪二元論」で語る節があります。しかしこの本はアメリカ外交をそういった単純な視点ではなく多角的に紹介していますので、かなりの説得力があります。「アメリカの平和」である現在、政治を語る上では是非読んでもらいたい本の一つです。
お手軽なアメリカ外交概論という感じ。 ただアメリカ外交をよく知らない私でもちょっと物足りない気が。。 経済思想や宗教などもからめたものも読んでみたいかな。
これだけの軍事力を擁していながら、アメリカがおそらく時刻の安全保障に歴史上最も深刻な危惧感を偉大散る。テロの恐怖とイラクの混沌が原因。 ブッシュの本が日本でも売れている。現職大統領の本が平積みされて売られるというのは、彼が戦時の大統領だから。 ニクソンは、世界え重要なのは日本と中国、ロシアとヨーロッ...続きを読むパだけ、と若き日のラムズフェルドに諭した。
うちの大学の教授、村田晃嗣先生が書かれた本。アメリカの政治外交史を細かく分析していて面白い。国際関係学を学ぶうえでアメリカは切り離せないので、国際関係学を専攻してる学生は読んどいたほうがいいかも。
日本と韓国の外交などが専攻の私だが、日本を語るにも韓国を語るにもアメリカ外交を外すことはできない。 とくに安保と関連して、アメリカ外交をちらりと覗いてみようと思って手に取ったこの本。 カバー折り返しに載っている著者の写真をみて、どこかで見たことがあるなぁと唸っていたのだが、どうもテレビによく出て...続きを読むいる教授らしい。 内容は・・・アメリカ外交の初歩の初歩、読みやすいコラム風の教科書といったところか。決して十分な分量でもないので、さらっと流しただけの感はあるのだが入門書としてはよい。また、簡単な外交・政治理論なども含まれているため、ただの「アメリカ史」に留まらない点が評価できる。 そして参考文献が説明つきでよく紹介されていて、アメリカ政治・国際政治に関して深く学習する際に役立つと思われる。
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