無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
はじめの「脱出」を読んで、素晴らしく良いとは感じなかったので表題作がこれくらいでは、他もそんなに大したことないのかも…と思いつつ読み進めると、この本のコンセプトが「脱出」というタイトルに象徴されていることがわかり、様々な人々を描きながら、一本の太い棒のようなものが貫かれていることに感心する。バラバラに読むよりまとめて読んだ方が、作者の言わんとすることがよくわかる。そういう意味で良い短編集である。
戦中戦後に、直接戦闘にはかかわらなかった子どもや僧がたとえ命は失わなかったにしてもどのように心身に傷を負ったかが、情緒を排した文章で描かれる。
特に児童労働と、労働させる人々を描いた「鯛の島」、生き残った人々の海上でのサバイバルがすさまじい、対馬丸を描いた「他人の城」が印象に残った。
感情移入してすらすら読める本ではないが、日本文学として若い人にも読んでほしい作品。こういう作品を読む力が近年著しく失われているのではないかと感じているので。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。