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Posted by ブクログ
昔読んだ漫画の中にモチーフとして登場していて、ずっと印象に残っていたが読むのが怖いような気がして保留にしたままになっていた。数十年の時を経てやっと購入。死をテーマにした中短編集で、思っていた通り暗い雰囲気に包まれた作品たちだけど、描写は素晴らしく美しい。透き通るような骨標本や暗闇に星が瞬く場面が頭の中で鮮明に映像化される感覚になる。ジャンルはかなり違うけどその感覚は宮澤賢治を読んだときに感じたものと重なる。これが戦時中を生きた人の死生観なのか。高校時代、現国の先生が太宰治の「人間失格」を評して〝精神的に参っているときに読むとヤバい〟と言ってたけど、この作品もどこかメルヘンめいた世界に引き込まれていきそうで、太宰治賞受賞なるほどと思った。
Posted by ブクログ
往来堂書店「D坂文庫 2017夏」からの一冊。
吉村昭の作品はこれまでに何冊か読んでいたけれど、短編小説は初めて。しかも、これは昭和33年から42年にかけて書かれた作品を集めた、実質的なデビュー作ということらしい。
その筆致は、後に書かれる社会派作品群と同様、緊張感にあふれて鋭い。しかし、本書はそう評するだけでは不十分だろう。何しろ、収められた6編はいずれも生と死をテーマに書かれていて、鋭さに重さが加わっているからだ。
表題作の「星への旅」は、そのメルヘンっぽいタイトルとは裏腹に、日常の倦怠感と無力感から集団自殺を企てる若者の話であるし、「鉄橋」ではボクサーが列車に轢かれて不可解な死を遂げる。「少女架刑」では遺体となった少女が語り手で、その連作とも思える「透明標本」では、死体標本作成に取り憑かれた男の情念が重い。
冒頭で、生と死がテーマと書いたけれど、本書を読み終えてみると、生と死というのは実は紙一重の違いしかなく、死はいつでも生の隣にいて口を開けて待っているのではないか、などという妄想じみた思いにかられる。後の作品では、様々な死を描くことになるわけだが、著者はデビューした頃から既に死に対するスタンスを明確に持っていたのかもしれない。読むのに体力が要るこの短編集を読んだ今、あらためて著者の作品を読み直してみると、違う読み方ができそうに思える。
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