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Posted by ブクログ
先日NHKのドラマで「天城越え」を見、原作を読んでみるかと思って手に入れた本作。
めちゃくちゃ面白かったです。
昭和30年代が舞台なので、設定に古さはありましたが、その古さがまた趣を増していました。
「遭難」は、私も多少登山をするので、自分も現場にいるような臨場感を味わいました。
「凶器」はタイトル通り「凶器」の正体に度肝を抜かされました。
「坂道の家」は主人公の男が若い女に手玉に取られ、転落する様子がいたたまれなかったです。
他の収録作品も読みごたえがあり、3日ぐらいであっという間に読み終えてしまいました。
他の短編集も読んでみたいです。
Posted by ブクログ
作者が自信を持って選んだ7篇の短編集。ほぼ男女の醜関係に纏わる話でタイトル通り黒い。社会派推理小説の始祖だけあって名探偵や名刑事なる人は出てこないがトリックが凝った作品もある。特に『凶器』という作品のトリックは外国の作家も用いており(自分は未読だけど)どちらが先かは分からないけど、名探偵モノみたいな型にハマっていない分さり気なくて面白かった。
銀行員と愛人の話も悲哀というかコントみたい要素もあるがラストでキッチリ決着をつける展開が好き。
全話の感想は読む方も怠いだろうからこの辺で止めておくがページ数の分厚さといいじっくり楽しめる本である。
Posted by ブクログ
ようやく読み終わった!
というのも、分厚くてボリュームまんてん、そして物理的に重い!!
松本清張の本を読んだのは初めてだったのですが、スラスラ読めてしまう面白さでした。
短編7作という贅沢な内容!
手に取ったきっかけは、60年から61年にかけて公開された映画「黒い画集」シリーズ三作を観たことでした。
「遭難」を原作とした「ある遭難」の脚本で、好きな映画監督の1人である石井輝男が参加していたことを知り鑑賞。
(「あるサラリーマンの証言」は橋本忍が脚本!)
松本清張は有名だし、たくさん映像化もされているけど、やはり昔の作品な上分厚いので読み切れるかなと少し不安がありましたが、読み始めると夢中になってしまいました。
7作とも愛憎渦巻く事件で、理性を飛び越えた衝動が人生を狂わせる、恐ろしくも、のぞき見ずにはいられない、そんな短編集でした。
面白かったので、松本清張の他の作品も読んでみたいなと思いました!
Posted by ブクログ
「松本清張」の短篇集『黒い画集』を読みました。
『聞かなかった場所』、『或る「小倉日記」伝 傑作短編集〔一〕』、『張込み 傑作短編集〔五〕』に続き「松本清張」作品ですね。
-----story-------------
身の安全と出世を願う男の生活にさす暗い影。
絶対に知られてはならない女関係。
平凡な日常生活にひそむ深淵の恐ろしさを描く7編。
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以下の7篇が収録されていますが、、、
■遭難
■証言
■天城越え
■寒流
■凶器
■紐
■坂道の家
『遭難(映画タイトル:ある遭難)』、『証言(映画タイトル:あるサラリーマンの証言)』、『天城越え』、『寒流(映画タイトル:黒い画集 第二話 寒流)』の4作品は映像化作品を観たことがありましたが、いずれも映像化作品が面白かったので、原作も愉しく読めました。
『遭難』は、鹿島槍登山中に遭難した弟「岩瀬秀雄」の死に疑念を感じた姉「岩瀬真佐子」が、登山経験のある従兄「槇田二郎」に真相究明を依頼する物語、、、
パーティーのリーダー「江田昌利」の行動や判断に不信感を抱いた「槇田」は、「秀雄」の弔いを理由に、「江田」を誘い出し、二人で冬の鹿島槍に登山… 遭難時のルートや時間を再現し、偶然の積み重ねによる作為的な行為があったことを証明し、動機を含めた真相を突き止める。
しかし、「江田」の方が一枚上手だったようですね… 山岳小説としても充分愉しめるクオリティでしたね。
『証言』は、エリート銀行員「石野貞一郎」が、殺人の容疑をかけられた自宅近所に住む男「杉山孝三」が無実であることを証明できるアリバイを知りながら、自分の保身のために証言を偽る物語、、、
不倫を隠すために嘘の証言をするが、結局、嘘は嘘に復讐されるというオチ… 実際に在りそうな物語だけに怖いですねぇ。
『天城越え』は、印刷業を営む男性が、三十数年前の少年だった頃に家出をして歩いて天城越えをしていたときに遭遇した事件を回想する物語、、、
天城峠の道を湯ヶ島方面へ引き返した少年の気持ち… わかるような気がしますね。
登場人物が限られているので、真相はある程度予想できる展開ではあるものの、やはり真相を知ったときはショッキングでしたね。
回想する物語でありながら、当時、捜査に携わった刑事の執念の物語でもありました。
『寒流』は、某銀行の支店長「沖野一郎」が、上司である常務の「桑山英己」に愛人「前川奈美」を横取りされてしまう物語、、、
「沖野」は総会屋等を使って「桑山」への復讐を準備するが、狡猾な「桑山」が一歩先回りして「沖野」の計画を未然に防止… 「沖野」は、社内で暖流である派閥から外れ、寒流に押し出されてしまう。
しかし、「沖野」は、元秘密探偵社の「伊牟田博助」と組んで「桑山」の愛車キャデラックを使った罠を仕掛ける… スッキリするエンディングでしたが、良く良く考えてみると、「沖野」の行動も家族の視点からは悪行なんですよねぇ。
『凶器』は、物的証拠(凶器)が発見されないことから、容疑者を追い詰めることができなかった、ある小さな村で起きた殺人事件を描いた物語、、、
時効後に刑事が凶器に気付くのですが、それは意外なモノだったですねぇ… まさか、凶器を村人や刑事で食べていたなんて。
真相が判明する最後の三行が面白かった… 短い作品でしたが愉しめましたね。
『紐』は、多摩川の河原で絞殺死体で発見された岡山(津山)の神主「梅田安太郎」の死の真相を巡る物語、、、
首に四重に巻かれたビニール紐が丁寧に巻かれていたり、死後仰向けにして一定時間を経過後にうつ伏せにされていたり、両手足が日本手拭いでくくられていたり… 等々、様々な特徴があったが、犯人を特定するまでに至らなかった。
「安太郎」殺害前から行方不明となっており、心配して上京していた妻や、「安太郎」が身を寄せていた姉夫婦にも嫌疑がかかるが、それぞれには完璧すぎるアリバイがあったのだ、、、
その後、「安太郎」には多額の保険金がかけられていたことが判明し、再び、妻や姉夫婦に嫌疑が… 生命保険会社の調査課は妻と義兄の共謀だったと推理するが、それを受けた警察では妻と姉と本人の共謀と推理、そして真実は… 最後の四行で判明する結末には驚きましたねぇ。
この事件そのものが、殺された夫が、ある人物を陥れるために仕掛けた計画だったとは… 命を懸けた復讐ですね。
『坂道の家』は、キャバレー勤の若い女性に嵌ってしまった四十代の男性が、情痴の道を転がり落ちて行く物語、、、
吝嗇で僅かな出費も惜しんで、コツコツと貯めた財産を、一人の女のために使い込み、店も家族も捨て、そして命まで奪われる… 読んでる側の立場だと、何でこんなことになっちゃうんだろう、もっと早く立ち直れたんじゃないのかなぁ… と感じるのですが、愛憎や嫉妬、情念の入り混じった当事者には、そんな余裕はないんでしょうね。
人生なんて、脆いものですねぇ。
既知の作品が多かったけど、全編愉しめました、、、
短篇、中篇合わせて700ページ以上… 量的にも読み応えがありましたね。
Posted by ブクログ
全編面白かった。
本書の主人公は「女」で踏み外す男ばかりである。
基本的にはモテない男が金目当てで近づいた女に毟られる展開だ。真面目に生きて来た冴えない男が、ふとした切っ掛けで女に溺れ、それを隠そうとしてドツボに嵌ったり、自分が浮気しているのに嫉妬したり、とても人間臭い物語ばかりだ。
一言でいうと「格好悪い」男たちの藻掻き苦しんだ様を描いている。世間ではサスペンスのジャンルに入っているようだが、コメディーとして読める作品もあった。
とにかく格好悪い。格好悪い男たちの悪あがき小説である。
●遭難
同僚三人の登山で一人が遭難で死亡。当初は事故とされていたが、死亡した同僚の従兄が同じコースを登山したいと相談してきた。登山に誘ったリーダーの男は承諾するが…。
●証言
愛人の家を出たところで偶然近所の住人に出会った主人公。後日、その住人が殺人容疑で逮捕されたことを知る。主人公が見かけた時刻が犯行時刻と重なっていたため、アリバイ証言を求められる。しかし不倫を隠したい主人公は見ていないと嘘をつくのだった…。
●天城越え
家出した少年は天城峠で一人の女と出会う。途中まで同行していたが、女は流れ者の土工と用があると言い出し、少年を一人で先に行かせるが…。翌日、土工は死体で発見されたのだった。
●寒流
真面目な銀行員の主人公は料理屋の女将と不倫関係になるが、上司の役員に寝取られる。不倫相手に嫉妬した銀行員は上司と女将に横恋慕するが、左遷されてしまうのだった。復讐に燃える主人公は興信所を使い、不倫の証拠を集め始めるが…。
●凶器
ある農村で頭を割られた死体が発見される。容疑者に言い寄られていたシングルマザーが浮かぶが、凶器とみられる鈍器は家の中からは発見されず…。
●紐
河原で後ろ手に縛られた絞殺死体が発見される。当初は金の問題で犯罪組織に殺されたと見られていたが、担当刑事は死体の男の妻に違和感を感じて捜査を始める。しかし容疑者とされた妻は鉄壁のアリバイがあった。死体はなぜ仰向けからうつ伏せに裏返されたのか、丁寧な紐の締め方はなぜなのか?
●坂道の家
吝嗇で真面目な雑貨屋の男がホステスに嵌り、家庭も蓄財も仕事も失ってしまう。残り僅かな貯金を下ろし、ホステスと暮らすようになるが、男はホステスの家の風呂場で死体で発見されるのだった…。
Posted by ブクログ
今は亡き松本清張の推理短編集。
長編作品は『砂の器』や『点と線』『ゼロの焦点』など、
読み応えのある推理小説が数多くありますが、
ファンとして忘れてならないのはこの短編集だと思います。
淡い恋心を踏みにじられ衝動的に起こした殺人『天城越え』や、
綿密な計画をたて相手にストレスと疲れを与え、
山での遭難にみせかけた殺人事件『遭難』をはじめ、
『証言』 『坂道の家』『紐』 『寒流』 『凶器』 etc。
今読み返してみても、どれもこれも
人間というものの弱い心理が浮き彫りにされた小説ばかりです。
しかも事件の発端から、
登場人物の心の動きが手に取るように描かれていました。
派手なアクションや武器もないこの推理小説集には、
物的証拠と地道な聞き込み調査で
気長に事件を捜査する刑事達が登場します。
さすがに新聞記者出身の作者は、
事件のトリックやアリバイも描写が細かい。
現場を見て推測する刑事達にも親しみがもてるのです。
小説の中の小道具や背景も懐かしい。
作者が全盛期だった
「昭和」の時代そのものがたっぷりつまっています。
そういえば、もし「平成」の世に松本清張がまだ生きていたら、
彼はどんな推理小説を書いたでしょう。
ダイヤル式黒電話はなくなり、
刑事たちの連絡方法は、片手で操作するスマートフォン。
時刻表を見比べてで綿密にたてていたアリバイは、
携帯やPCのナビゲーションソフトで簡単にできてしまう。
極めつけは、証拠物件のDNA鑑定で、すぐさまわかる被害者や犯人。
現代はスピーディーな事件の解決が臨めるのです。
今はそういう事件をもとにした推理小説も多数あり、
それはそれで面白いのですが、時には
事件関係者の心理や犯人捜しをじっくりと書き綴った、
職人わざの「和菓子」のような推理小説が読みたくなります。
松本清張の平成版推理小説、読んでみたかった・・・。
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