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Posted by ブクログ
永田和宏さんの『現代秀歌』がとてもよかったので、こちらは私にはたぶん難しいのではないかと思いましたが拝読しました。
思ったほど難しさは感じられずとてもわかりやすい解説でした。
本書で著者の永田和宏さんは近代以降に作られた歌の中から100首を選んで解説と鑑賞をつけるという作業を行ったそうです。落合直文から土屋文明までの歌を取り上げたそうです。
第一章恋・愛
与謝野晶子、与謝野鉄幹、晶子の元恋人の河野鉄南、鉄幹と三角関係だった山川登美子などの関係がわかりました。
プロの歌人たちにとったアンケートで相聞歌の一番と二番は
<木に花咲き君わが妻とならむ日の四月なかなか遠くもあるかな> 前田夕暮『収穫』
<君かへす朝の敷石さくさくと雪よ林檎の香のごとくふれ> 北原白秋『桐の花』
第二章青春
<不来方のお城の草に寝ころびて
空に吸はれし
十五の心> 石川啄木『一握の砂』
が、私も盛岡市に以前住んでいて岩手公園のこの石碑のあるところを何度も歩いたことがあり懐かしかったです。
近代歌人の中で最も愛唱歌の多い歌人は啄木だそうです。
そして愛唱性のある歌人で啄木と双璧をなすのが若山牧水。
第五章日常
<白玉の歯にしみとほる秋の夜の酒はしづかに飲むべかりけり> 若山牧水『路上』
第六章社会と文化
<はたらけど
はたらけど猶わが生活楽にならざり
ぢっと手を見る> 石川啄木『一握の砂』
第七章旅
<幾山河越えさり行かば寂しさの終てなむ国ぞ今日も旅ゆく> 若山牧水『海の声』
<ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なる一ひらの雲>
佐佐木信綱『新月』
第九章孤の思い
<白鳥は哀しからずや空の青海のあをにも染まずただよふ> 若山牧水『海の声』
第十章死
<のど赤き玄鳥ふたつ屋りにゐて足乳根の母は死にたまふなり> 斎藤茂吉『赤光』
愛唱歌の多いという啄木と牧水ばかり取り上げてしまったような感がありますが、近いうちに啄木と牧水の歌集を読んでみたいと思っています。
Posted by ブクログ
岩波新書の好企画
明治・大正・昭和を中心に日本人の心のふるさととして永久に口ずさみ伝えるべき100首を選び、適切な解説をほどこした岩波新書の好企画です。
「恋・愛」「青春」「旅」「四季・自然」などの項目ごとに、いつかどこかで目にした短歌の名作が続々登場するので、楽しみながらすいすい読めてしまう、それこそ面白くて為になる詩歌集なのですが、なかにはここで初めておめにかかる作品も多く、わたくしの日頃の、いな、これまでの不勉強に赤面せざるを得ない選集でもありました。
我が母よ死にたまひゆく我が母よ我を生まし乳足らひし母よ 茂吉
この斎藤茂吉の「赤光」の「死にたまふ母」が全篇のハイライトをなしているのは間違いないと思うのですが、土屋文明の「君がもてる貧しきものの卑しさを是の友に見て耐へがたかりき」や「さまざまの七十年すごし今は見る最もうつくしき汝を棺に」、そして土岐善麿の「遺棄死体数百といひ数千といふいのちをふたつもちしものなし」や「あなたは勝つものとおもってゐましたかと老いたる妻のさびしげにいふ」などの作品に接して私は大きな衝撃を受けました。
子規と茂吉が“近代短歌の父”ならば、その母の名にふさわしいのはやはり与謝野晶子ではないでしょうか。
金色のちひさき鳥のかたちして銀杏ちるなり夕日の岡に 晶子
これは短歌ではありませんが、若き日の彼女の「君死にたまふことなかれ」の5連40行は、いまこそ再読三読すべき内容を含んでいるとわたしには思われてなりません。
君死にたまふことなかれ、すめらみことは、戦いに おほみづからは出でまさね、
かたみに人の血を流し、獣の道に死ねよとは、死ぬるを人のほまれとは、
大みこころの深ければ もとよりいかで思されむ。
井の中の蛙は夜郎自大にて世界を相手に戦うと嘯く 蝶人
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