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様々な要因と複雑に絡み合い、本人や周囲にも長期に影響を及ぼす「心の傷」。その実際は? 向き合い方は? そして社会や文化へのかかわりは? 研究者として、また臨床医として、数多くのケースをみてきた第一人者による待望の入門書。著者は究極の心のケアとはとまどいながらもそばに居続けることといいます。きっとそのヒントを得られる一冊です。
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Posted by ブクログ
トラウマを抱えたとしても、そばに寄りそう人がいて、回復を待っていられる時間的余裕のある、ゆっくりと生きていける社会であってほしいと願うと共に、そのような人間であろうと思う。
たまには新書をと軽い気持ちで購入したことを恥じる トラウマへのあらゆる方向からアプローチ 読めばきっとそれに関わる事柄で悩んでいる人の入門書として拠り所として知識として忘れがたい好著となる本になるのだろうと想像できる 僕は超高所恐怖症である この本でトラウマから来ているものなのかも今更思う 初め...続きを読むて買ってもらった自転車 僕は興奮しハンドルに名前をつけていたような気がする 当時団地に住んでいたにも関わらず常に触りたいと家の中に自転車を入れ毎日拭いていた 幼稚園が休みで初めて母親と練習するとなり 僕は団地の入口前で早く早くと母親を待った すると母親が自転車を持って階段を降りてきたのだがペダルに足を引っ掛け階段から盛大に自転車と落ちてきた 1度も乗っていないにも関わらずベコベコになる自転車 苦痛に顔を歪め 腰がとうずくまる母親 僕は泣いた 母親の苦痛にではない 1度も乗っていない愛車が路上で捨てられたチャリの如くボッコボコになったことでだ 僕は叫んだ なんてことをするんだまだ乗ってないのに! すると母親は言った 今日の練習おしまい!あたしは寝る! 僕は大泣きした ここまでは家族の笑い話として認識していたのだが 思うに、高所から母親が落ちる姿を幼少時に見たことで高い所が怖くなったのではないか と今更に思うのだ 僕は今、エスカレーターが怖いのである こんな与太話をこの好著の感想に書くのもどうかと思うが、誰にでもトラウマって存在するのではないのですかと言いたくて この本、凄かったです
「ははがうまれる」が素晴らしすぎて、 流れてきました。 トラウマ、というタイトルですが、 トラウマ界隈の人だけでなく、 人間関係に悩む全ての人がよむべき内容だと思う。 社会的生き物であり孤独、という相反する特徴を持った”人”という生き物の行動を理解するのにきっと役出つ。 人に対する想像力を掻き立...続きを読むてられる。 そばに置いて何度でも手に取りたい本。 新書ですが、宮地先生の柔らかさ、温かさが滲み出ており、読みやすいです。
何でみたのだったか、また忘れてしまった。何かの本の中で本書が参考文献で挙がっていて、環状島について言及があった。興味を惹かれて読んだのだけれど。 素晴らしいのひと言につきる。トラウマについて、一個人のミクロの視点から社会全体、グローバルな環境全てを俯瞰したマクロの視点まで、見事にトラウマについて、わ...続きを読むかりやすく、過不足なく、ここまで説明し切っている著作は読んだことがない。 とりわけ、第6章が秀逸。最近の私にありがちだが、感銘のあまり泣けてきた。実際に支援者として関わっている個人が、何人も思い浮かぶからというのもあるだろうけど。 いつも思っている、人は1人では生きられないということを著者も言っていて、そしてだからこそ傷つきからは逃れられないこと、でもそれでも人は、傷つきを包み込みながら人生を生きていくことができること、それは誰かがいるからできることでもあり、同時に、それでも人は孤独でもあることを、今一度深く心に刻んだ。 傷ついて、でも誰かがそばにいる、そんな誰かになりたかったから、私はこの仕事をしている。 他者のケアに、ほんの少しでも関わりのある人全てに読んでほしい。 追記 ブックリストで今年のベスト3選んじゃったけど、最後の一冊は本書だなー。 作り直そう。 それから、文化結合症候群は以前何かでも読んだなあ、なんだったかな。中井久夫だったか?思い出せないよ、、、ほんと困る。気になった時にメモしないとなあ。
同著者の「傷を愛せるか」に感動して読み始めた本。素晴らしい本です。 読み終えてしまうのが勿体なかったと感じたほど。 『トラウマ』を通じて人と心の関係が様々な視点から考察されている。 「研究費補助金助成」の研究成果の一部でもある。ということで内容は学術的なレベルのはずだが、とても読みやすい。 以下は...続きを読むまだメモだが、特に第5章「社会の傷を開く」を読んだ際に書いたもの… …… これは「トラウマ」だけに終わらない。 心の傷全てに対して、傷を負う者、負わされる者、なぜそのような事が起きるのか。 誰でも『他人を傷つけることは悪いこと』という共通認識を持っていると錯覚しているが、それは錯覚でしかない。 差別は『分ける』から存在するのかと単純に思っていた自分が恥ずかしい。 トラウマの無い人はいない。 トラウマを負う人がトラウマに慣れることはない。しかし与える側は慣れていく。 その行為が正当化され日常と化せば、ごく普通の風景となる。仕方がないこと。当然のこと。負う方に責任があるのだから。 『差』があるのは当然であり、差があるからと言って『差別』が生まれる訳ではない。 違いを認識しながら共存している。肌の色などと言わずとももっと微細な差であっても、それを認識し正当な理由さえあれば差別になっていく。 『正当化された理由』があるから差別は存在するようだ。 ……
トラウマとはどのような状態のことを示すのか、誘発される病気は何か、どのように向き合うべきか、などを知りたかった。今現在トラウマのようなものにとらわれているが、それに関して一般的な知見を得たり言語化したりすることで回復の糸口がつかめればいいなと思った。 世間には自分よりもっと過酷な状況、深刻な症状の...続きを読む人がいて、それに比べれば私は軽いほうなんだ、と感じた。これぐらいの症状で精神病だなんて言っていて、本当に苦しんでいる人に対しておこがましかったかも。 p44の環状島の説明、わかりやすかった。 自分にとってなんでもない言葉が相手にとってそうであるとは限らない。自分が加害者の側に無意識のうちにならないように注意しないといけないと思った。 また、悩みを抱えた人に対する接し方についても記述があり参考になった。
社会がトラウマを作り、トラウマが社会を更新していくという本書の主張に納得した。トラウマから社会を見ると、見えてくることが色々あるなと思った。汎用性の高い主張。勉強になった。
トラウマという言葉は、「PTSD」で有名になったが、逆にこのことで「医学化」されてしまい、問題が矮小化されすぎてしまっているきらいがある。何か大きな問題が起こると、すぐに「こころのケア」が叫ばれるが、いつも微かな疑問を感じてしまう。この著者の本を読むと、いつも何故かホッとする。いろいろな意味で幅広い...続きを読む臨床経験と、幅広い視野から「トラウマ」をとらえておられるからだろう。依存症の問題、ジェンダーの問題、マイノリティの問題、など勉強になった。沖縄の問題では蟻塚先生の記述も見られ、更に親近感を持った。
回復の道のりが新たなストレスをもたらすこともある。 安全な場所で、共感性をもったよい「聞き手」に話を聞いてもらうことで、気持ちの整理がついてくる。 とまどいながらそばによりそい続けることには、計り知れない価値がある。 自己尊重感や試行錯誤の経験抜きには人間は成長していけません。 安心できる場所とは、...続きを読む自分がそのままでいていい場所、存在証明から解放された場所でもある。 ただ誰が、誰を、誰から救済しようとしているのか、救済されるべき人たちはそのことを望んでいるのか、ということを考える必要があります。 トラウマも「耕す」ことによって、豊かになっていく。柔らかく混ぜ返し、外から空気を入れれば、ふくよかになっていくのでないか。重く凝り固めるのではなく、水分を含んだ、ほぐれるようなものになっていく。「耕す」とは、〈内海〉の揺らめきに目を凝らしたり、波打ち際のざわめきに耳を澄ますことと重なっている。言葉にならないもの、見えないものがそこにあると気づくこと、時には水を掻き出し〈水位〉を下げ、時には網を投げて沈みかけていたものを引き上げること、時にはそっと足を踏み入れ、貝殻のような何か足裏に触れたものを拾い上げること。そんなイメージ。 トラウマは、人間の弱さと不完全さを認識させてくれる。圧倒的な外力に対して、「同じ人間として」「人が傷つくのは同じ」という事実は、何があろうと揺らぎません。たとえ個人の気質や体力の差や、周囲の反応や使える資源によって、傷からの回復の程度が実際には変わるとしても、人間の存在自体の脆弱性は、誰もが共通して持つもの。 人間は皆、不完全です。弱さだけでなく、愚かさや身勝手さを抱えています。そもそも、人は皆、人生の初心者です。すべて人生は一回目です。たとえ人間社会で知識が蓄積され伝達されるとしても、学び、成長していくには時間もかかるし、努力も必要です。 トラウマは、人間の持つ復元力への信頼と尊重をも学ばせてくれる。つらい経験をしながらも前向きに生きて行く力、困難を適切に切り抜け、乗り越える力です。つらい体験をしても、それと向き合い乗り越えることで、成長につなげ、人間としての豊かさを広げること。こういった考え方は、外から押しつけられると、つらくなってしまいます。 トラウマは創造力や理想像、知恵の源になる。 表現者として自ら発信するとき、人は力を取り戻します。「私はここにいる」と発信する行為なのです。 自己を表現する手段を持たないために、社会に受け入れられず失敗することを繰り返してきた。自分の思いを表現することは、自己イメージの回復にもつながります。 あなたが何を言っているのかは分からない。でもあなたが何を言いたいのかは分かる。 何かを作ってみようという気持ちになること、何かを表現してみようという意欲が出てくること、自分が何かを表現してもいいと思えること、何か表現すべきものを自分が持っていることに気づけること、誰かが受けとめて興味を持ってくれるかもしれないという希望を持てること、そこの部分が重要なのです。 「何者」にもならなくていいということ。それがトラウマからもたらされる想像力や創造性の帰着点です。そして、それがまた新たな想像力や創造性の原点となるのです。
トラウマについての理解を深められる一冊。 トラウマとは一体何か、心、身体、社会の3つの視点から、述べられています。 個人的には、ジェンダー、DV、マイノリティ、性被害、正当化の危険性についての部分が興味深かったです。
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