【感想・ネタバレ】トラウマのレビュー

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Posted by ブクログ

トラウマという語は最近では気軽に使われるけれど本来は言葉にできないことなのだろう。読み進めていく内に誰もが被害者にも加害者にもなり得ることに気付かされて辛かった。またこの本では割愛されているものの被害者の加害者性や加害者の被害者性についても何時か読んでみたいと思った。最終章で語られた創作という過程を通しての回復はとても人間的で希望を感じる。

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2024年03月14日

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トラウマとはどのような状態のことを示すのか、誘発される病気は何か、どのように向き合うべきか、などを知りたかった。今現在トラウマのようなものにとらわれているが、それに関して一般的な知見を得たり言語化したりすることで回復の糸口がつかめればいいなと思った。

世間には自分よりもっと過酷な状況、深刻な症状の人がいて、それに比べれば私は軽いほうなんだ、と感じた。これぐらいの症状で精神病だなんて言っていて、本当に苦しんでいる人に対しておこがましかったかも。

p44の環状島の説明、わかりやすかった。

自分にとってなんでもない言葉が相手にとってそうであるとは限らない。自分が加害者の側に無意識のうちにならないように注意しないといけないと思った。

また、悩みを抱えた人に対する接し方についても記述があり参考になった。

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2017年01月19日

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社会がトラウマを作り、トラウマが社会を更新していくという本書の主張に納得した。トラウマから社会を見ると、見えてくることが色々あるなと思った。汎用性の高い主張。勉強になった。

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2014年05月10日

Posted by ブクログ

トラウマという言葉は、「PTSD」で有名になったが、逆にこのことで「医学化」されてしまい、問題が矮小化されすぎてしまっているきらいがある。何か大きな問題が起こると、すぐに「こころのケア」が叫ばれるが、いつも微かな疑問を感じてしまう。この著者の本を読むと、いつも何故かホッとする。いろいろな意味で幅広い臨床経験と、幅広い視野から「トラウマ」をとらえておられるからだろう。依存症の問題、ジェンダーの問題、マイノリティの問題、など勉強になった。沖縄の問題では蟻塚先生の記述も見られ、更に親近感を持った。

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2013年03月17日

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回復の道のりが新たなストレスをもたらすこともある。
安全な場所で、共感性をもったよい「聞き手」に話を聞いてもらうことで、気持ちの整理がついてくる。
とまどいながらそばによりそい続けることには、計り知れない価値がある。
自己尊重感や試行錯誤の経験抜きには人間は成長していけません。
安心できる場所とは、自分がそのままでいていい場所、存在証明から解放された場所でもある。
ただ誰が、誰を、誰から救済しようとしているのか、救済されるべき人たちはそのことを望んでいるのか、ということを考える必要があります。
トラウマも「耕す」ことによって、豊かになっていく。柔らかく混ぜ返し、外から空気を入れれば、ふくよかになっていくのでないか。重く凝り固めるのではなく、水分を含んだ、ほぐれるようなものになっていく。「耕す」とは、〈内海〉の揺らめきに目を凝らしたり、波打ち際のざわめきに耳を澄ますことと重なっている。言葉にならないもの、見えないものがそこにあると気づくこと、時には水を掻き出し〈水位〉を下げ、時には網を投げて沈みかけていたものを引き上げること、時にはそっと足を踏み入れ、貝殻のような何か足裏に触れたものを拾い上げること。そんなイメージ。
トラウマは、人間の弱さと不完全さを認識させてくれる。圧倒的な外力に対して、「同じ人間として」「人が傷つくのは同じ」という事実は、何があろうと揺らぎません。たとえ個人の気質や体力の差や、周囲の反応や使える資源によって、傷からの回復の程度が実際には変わるとしても、人間の存在自体の脆弱性は、誰もが共通して持つもの。
人間は皆、不完全です。弱さだけでなく、愚かさや身勝手さを抱えています。そもそも、人は皆、人生の初心者です。すべて人生は一回目です。たとえ人間社会で知識が蓄積され伝達されるとしても、学び、成長していくには時間もかかるし、努力も必要です。
トラウマは、人間の持つ復元力への信頼と尊重をも学ばせてくれる。つらい経験をしながらも前向きに生きて行く力、困難を適切に切り抜け、乗り越える力です。つらい体験をしても、それと向き合い乗り越えることで、成長につなげ、人間としての豊かさを広げること。こういった考え方は、外から押しつけられると、つらくなってしまいます。
トラウマは創造力や理想像、知恵の源になる。
表現者として自ら発信するとき、人は力を取り戻します。「私はここにいる」と発信する行為なのです。
自己を表現する手段を持たないために、社会に受け入れられず失敗することを繰り返してきた。自分の思いを表現することは、自己イメージの回復にもつながります。
あなたが何を言っているのかは分からない。でもあなたが何を言いたいのかは分かる。
何かを作ってみようという気持ちになること、何かを表現してみようという意欲が出てくること、自分が何かを表現してもいいと思えること、何か表現すべきものを自分が持っていることに気づけること、誰かが受けとめて興味を持ってくれるかもしれないという希望を持てること、そこの部分が重要なのです。
「何者」にもならなくていいということ。それがトラウマからもたらされる想像力や創造性の帰着点です。そして、それがまた新たな想像力や創造性の原点となるのです。

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2023年08月10日

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トラウマについての理解を深められる一冊。

トラウマとは一体何か、心、身体、社会の3つの視点から、述べられています。

個人的には、ジェンダー、DV、マイノリティ、性被害、正当化の危険性についての部分が興味深かったです。

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2015年02月07日

Posted by ブクログ

良書。
トラウマと気軽に使うことが間違いだと判る。そんな生易しいものでは無い。
幸運なことに、トラウマを経験したことがない。でも、いつでも、どこでも自分がトラウマになりうる。また、トラウマを抱えた方に出会うかもしれない。対応が非常に難しいことが判る。本書はこうした時のヒントになりうる。

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2013年06月15日

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心の傷であるトラウマについて書かれた入門書的1冊。疾患の基本的な事項から、心のケアに関すること、そして芸術との相関についてまで平易に解説されています。

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2013年04月22日

Posted by ブクログ

トラウマとは何か。
傷を抱えた人とともに生きることも、苦しい。話せないことも、苦しい。しかし、話すことも苦しい。
ジェンダーの観点もからんでくる、複雑な問題。

いろいろな視点から、専門的な内容を多く盛り込みながらも、語りかけるような口調で読みやすく書かれている。
トラウマという言葉が軽く扱われている傾向があるからこそ、こういった本で学ぶことには意義があると思う。

全員が正面から向き合うことまでは求められていないけれども、知っておいた方がいい。

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2013年02月20日

Posted by ブクログ

PTSDが西洋的概念であることを始めて知った。
それにしても、心に傷を持つ・・ということは言葉としては古いでしょうから、その困難を克服しながら(克服できなかった者は排除され、淘汰されたのでしょうが)生きてきたのでしょう。
それもまた進化の歴史だったのかもしれません。
とはいえ、戦争や原爆、原発のような人的なトラウマはなくそうと思えばできること。
その上、自然災害にはない、さらに深くて、長期にわたって解決できない心の傷を負うこともある。
著者は、トラウマの説明に終始せず、それと如何に関わっていくかということまで言及している。
医学的立場で書かれているというより、人道的、人間的立場に立って表現されている感じがする。

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2013年02月06日

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