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斉木(さいき)たち三人の男に、謎に拘(かか)わる女性・室井沙都(むろいさと)を加えた四人は「宝捜し」を進めていき、和歌山の地に辿り着く。その過程で、金貨を埋めた男・芹沢由郎(せりざわよしろう)の数奇な人生が、彼らの前に浮かび上がる。闇の世界に君臨した芹沢の哀しい思いと、満開の桜の花のイメージに突き動かされた人間たちの縁(えにし)。金貨が語る膨大な物語の結末で、彼らが手にできたものは何だったのか。
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Posted by ブクログ
「20年待てない人はたかがしれている。」というような意味のセリフがあったが、趣味で盆栽をしているせいかこの時間の長さへの精神的な捉え方は考えさせられたし、忘れられない言葉になりそうです。 宮本輝さんには人生を教わる事がとても多いけれど、草原の椅子だったか、他の作品だったか忘れけれど、「男は耳をしっか...続きを読むり洗わないといけない」というようなセリフも覚えていて、読んだその日から今に至るまで耳を洗わなかった日はない。
和歌山県の山のふもとにある桜の木の根元に、三千枚の金貨を埋めた。見つけたらあんたにあげるよ。 病院で見知らぬ男にこう言われた主人公と仲間が宝探しをする物語。 こう言えば単なる宝探しのお話のようだが、そこはストーリーテーラーの宮本輝。 金貨を埋めた男は、壮絶な幼児虐待を受けながら、親友には底知れない友...続きを読む情を示し、一方では闇金融でしたたかに生きている。 また、主人公が旅したシルクロードのエピソード、友人たちとのゴルフ談義が通奏低音のように物語の元を流れる。 謎を追い求めながらも、人間としてどう生きるのかを描いた物語。 面白かった。
週末に一気に読んだ。 のめりこんだなあ。 登場人物の年令が、自分と近いことに気づいて、僕もとしをとったなあと漠然と思ったり。 昔、自転車旅行で通りがかった湯浅の街の、醤油の匂いを思い出したり。 なんかよかったなあ。
金貨を埋めた芹沢由郎の生い立ちが丁寧に書かれていく。金貨が見つかるのかという所が一番興味のあるところだが、サラリーマンの生活、子どもの頃の苦い思い出など、いろいろからみ合って重厚な物語になっている。
斉木光生は文具メーカーの役員をしているが、5年前に入院していた病院で末期ガンを患っていた年配の男から、和歌山県の山の巨大な桜の木の根元に金貨を埋めた、と言う話を聞く。 同僚の宇津木、川岸、そしてBARのママ・室井沙都と共に和歌山へと向かう。 宮本輝の作品はどれも、風景描写に優れている。 作品の中で描...続きを読むかれている風景が視覚的に、と言うよりは感覚的に伝わってきます。 あーこんな場所なんだろうなー、と感じる事ができて、色々な感性が刺激されました。
ガムシャラに生きてきた主人公たちが40歳を過ぎたある時、少し足を止めて自分のこれまでの人生、生き方を俯瞰する。金貨探しはそれを促す出来事のひとつにすぎない。シルクロードの旅やゴルフ談議、里帰りや骨董品の購入などあらゆるエピソードが主人公たちの人生のささやかなターニングポイントになってくるのかもしれな...続きを読むい。
いい年を重ねている重ねていく男たちの話としてはおもしろかったし、こういう年の取り方したいとも思った。 でも、ゴルフと主人公の旅行と金貨とがうまく融合し切れてもいないようにも感じた。 読みが浅いだけかもしれないけど
2013/09/16 わかりやすい話のようでいて、でも少し難しい話でもあった。 光生が息子と語り合うシーンがとても印象的。 芹沢が結局どういう人物だったのかわからないままだったけれど、大きな桜の木のイメージが、読後感をとても爽やかなものにしてくれた。
金貨が埋まっているかもしれない土地にたどり着いた3人の男と一人の女、しかしすぐに探すことなく、20年間待つ、待つという行為が大事なこと・・・。 宮本輝らしいさわやかな読後感をもたらしてくれた。ただ、解説では哲学的と評するゴルフ談義が、興味ないものには冗長なだけ。 宮本輝の作品には、あちこちに名句がち...続きを読むりばめられているが、この作品に限っては、あまり見られなかったのは読み込みが足りないからかな。
『オレンジの壺』や『草原の椅子』を足したような印象が大きい。宮本輝ファンであれば物足りなさを受けるだろう。もちろん狙ってこうなったのかもしれないし、こうならざるしかなかったのかもしれない。物語全体としては安定感があり悪くはない。悪くはないだけに、このパターンは知っているぞ、という印象が強くなってしま...続きを読むう。いささか残念。
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