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葬儀社「せせらぎ典礼」で「湯灌・納棺師」として働く綾乃は、幼いころから母親の愛を十分に受けずに育った。そんな綾乃が、働くことを通して、徐々に生の意味を感じ取っていく感動作。
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Posted by ブクログ
前作『ランドルトの環』よりも、テーマが興味深く面白かった。 綾乃は心のどこかで死への憧れを抱きながら葬儀社で働く女性。綾乃の先輩である民代の潔い引き際、自らの死の受け入れ方が素敵だなと思った。日々、死に接するからこそ生を感じるというのは、病院で働いていた自分にも身に覚えがある。自分だったらこんな最期...続きを読むを迎えたいなとか、この方の人生はどんなだったのかななどと思いをはせながら、人生の終わりを迎える人をお世話していた。亡くなった方の安らかな表情に救われることもあるし、逆にどうしてこんなに苦しい思いをしなきゃいけないんだろうと感じることもある。人の最期の姿から学ぶことってとても多い。そういう経験のできる仕事というのも多くないしね。 感じるのは、人は生きるのではなくて生かされているということ。毎日生きていることが奇跡だということ。生かされている命を生ききることが人生だということ。綾乃も自分の命を生ききってほしい。
睦綾乃は葬儀社で働き6年になる。 ベテラン、川瀬民代に教えられることも多い。 ある時、彼女から「孤独の反対ってなんだと思う?」と訊かれる。 綾乃は考える。 自分のことは、煙のように消してしまいたいと思ってきた。 湯灌、納棺の仕事をしながら変わっていく綾乃の姿が 無理なく自然に描かれている。 線香の煙...続きを読むを揺らすような優しい風がふわりと感じられるようで とても心地よい読書の時間だった。
遺体を、湯灌し納棺する仕事。 先輩の民代さんは、納棺と遺体の復元専門で、 顔の損傷の激しい「変死体」を修復、復元する特殊技能士。 それを引き継ぐ綾乃。 綾乃は死にたい願望があるが、沢山の死別を見送り、生きたい気持ちに変わって行く内容。 エンバーミング→最初から遺体の腐敗を遅らせ、美しく保持すること。...続きを読む合理的で時代の先端を行く技術。日本は火葬の国なのでやっていない。 印象的な言葉。 人間にとって1番怖いことは知ること。人より早く何かに気づく人は、人より早く悲しみを知って、人より早く、そして深く、心を痛める。それでも知りたいことは知りたい。そうやって未知の自分に出会う。 いつかみんな死ぬ。焦ることはない。その日が来るまでは、まっすぐに突き進むのみ。 表紙の写真がとてもきれい。
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