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Posted by ブクログ
油井正雪の乱として授業で習う慶安の変は、教科書的にいうと、大量発生した浪人対策を怠る幕府に対する反抗ということになる。3代将軍徳川家光の時代までの武断政治により改易された藩からは主家を失った浪人が大量に発生、徳川幕府体制をより確固たるものにしたい松平伊豆守信綱はこれを利用し、浪人が果てるのを待つ政策を遂行。これに対し、油井正雪は浪人による徳川幕府の転覆をはかったが、事前に計画が漏れて、実際には乱にはならなかったという事案である。
教科書では油井正雪が実際何者であったかはほとんど触れられず、浪人を大量動員した測った計画を重く見た政府徳川幕府が、家光の死後、文治政治に展開していくという歴史の流れの転換点としてのみ表記されている。
そこで、山本周五郎の登場だ。「樅の木は残った」でも伊達騒動について原田甲斐を新たなイメージで描き、これを読むとこれが正のような感じがしてくる。同じように正雪記では、幕府転覆などという大それたことを本当に考えていたのか?そう思わせる彼のバックボーンは何なのか?という観点でストーリーが組み立てられているのだ。まさに本書を読むとこれが正に思えてきてしまうわけだが。
しかし、ひとかどの名を成すのだ、という思いと、何で名を残すかという思索の果てが浪人取り扱いに関する幕政改革であったというのはやっぱり本当な気がする。表面的な教科書知識と油井正雪のものがたちがぴったりと合わさった感じがする。そして、山本周五郎にかかるとやはり、命を落としてはダメなのだ、なんとか生き残っていくのだというベースラインがしっかりと提示されていく。
フィクションだとは思うが、歴史の背景や流れは腹落ちするものがある、それが山本周五郎なんだと思う。
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