降霊会の夜

降霊会の夜

1,600円 (税込)

8pt

私は顧みる。すると驚くことに眼下には、私がかつて暮らし、捨ててきた街がひとつ残らずぎっしりと、まるで重箱さながらにありし日のままひしめいているのである。たちまち罰されぬ罪のくさぐさが押し寄せてきて、私は胸の重みを支えきれず路上にうずくまる。しかし女は、冷たい手のひらを私の顎に当てて引き上げ、きっぱりと、叱りつけるように言うのである。“――何を今さら。忘れていたくせに。”

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降霊会の夜 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2018年10月20日

    元会社の保養所であった別荘に一人暮らす主人公は道に迷ったような女性を一晩泊めてやった。その彼女がミセス・ジョーンズの降霊会に招いてくれた。その降霊会で主人公は自分の過去を見た。

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    Posted by ブクログ 2014年12月29日

    ひとつの怪異譚の内包した時間の厚みが膨大で、物語の中の時間軸を突き抜けて手元まで届いてる感じのする言葉のエネルギー 
    ぼんやり幻に巻き取るようなラストなのに読後感の鮮やかさと苦さが気持ちいい

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    Posted by ブクログ 2012年11月14日

    すばらしい作品だった。

    主人公の幼き時代に訳ありの友達をもち、一線をひいて付き合った。老いたのち、霊となった友人と再会する。なんともいえない切なさがたまらない。恨みはなく、さわやかに別れた。

    また、主人公は、19歳のころに愛した清純な女性を、その時、振ってしまったことを、長年後悔してきた。一方、...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2014年11月22日

    主人公がふとしたことで「降霊会」に呼ばれ、その中で現れる、忘れたのか、あえて蓋をしたのか、過去に関わった人々と交流する、そんな話。前後半2部に分かれており、前半は少年期の事件、後半は学生の時の話。戦後の混乱期や、学生運動なども絡んで、一筋縄ではいかないこの時代に起こった悲しい話。どちらの話も、「ボタ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2014年01月11日

    祖父が神憑る際に梓弓の弦を引くことから、梓と名付けられた女が別荘地に迷い込んだところから物語は始まる。梓に西の森に住むジョーンズ夫人を紹介されたゆうは降霊会に臨み、父親に殺された小学生の頃の友人やゆうへの想いを告げることもなく、若くして亡くなった真澄の思いを知ることになる。過去の自分と真摯に向き合う...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2013年04月06日

    結末がすこし期待はずれ。想定内?
    但し、小説内の2つのテーマはどちらも秀逸で、浅田次郎らしい心の葛藤や心苦しさがうまく表現されていて、とてもよい小説です。

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    Posted by ブクログ 2013年01月06日

    初老の男性がずっと胸の奥に抱えてきた、でも目を逸らし続けてきた過去に降霊会を通して向き合っていくストーリー。

    前半の少年時代編と後半の学生時代編に分かれている。

    少年時代に仲がよくもあり、半面疎ましくもあった友人キヨが目の前で交通事故で亡くなった話の真相はやるせなくて、重かった。。

    浅田次郎さ...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2012年10月08日

    初老の主人公は、降霊会に呼ばれ、子供の頃の友人キヨの霊、学生時代の女性の友人真澄の霊、あるいは関連のある人の霊と話す。

    前半のキヨの話がとてもせつない。。。

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    Posted by ブクログ 2012年09月05日

    前半の子供時代の話で 胸がいっぱいになったのに 後半部分は ちょっと イラっとした。
    全体的に ミステリアスな雰囲気があって 好き

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    Posted by ブクログ 2023年09月14日

    初浅田作品。
    前半のキヨ編は、戦争をまだ引きずっていた時代で、悲惨ながら、読まされたが、後半はうーん。
    結局、ゆうちゃんは20歳前に振った百合子を30年近く想っていたってことか。

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