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戦争を始めるためにはなにが必要か? それは膨大なペーパー・ワークを伴う「戦争計画」に基づいた動員・集中・開進・作戦という兵力の運用である。では、太平洋戦争はどう準備されたのだろうか。支那事変から真珠湾攻撃までの経過を検証し、「縄張り意識」と「無責任」が支配する官僚国家が引き起こした悲劇の内幕に迫る。
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Posted by ブクログ
幻の近衛文麿・ルーズヴェルト会談 近衛は相手の空気が読めない男 時の外務省も世界情勢が全く読めなかった 官僚の質的低下は顕著 太平洋戦争開戦の意思決定過程 国策より省益 結果責任は不明! 政治決定の欠落による戦争開始・・・歴史家を当惑させる
先の大戦等とも云うけれども、日米戦をどう考えるのかと云うことは、一旦国が滅んだのだから大変重要だと思うのだ。重要なのだが、時期が近いこともあって、歴史として充分に教訓なり未来に向けた改善点なりを見いだす以前に、イデオロギ的に利用され尽くしているようにも思う。 別宮暖朗の論は、軍事学的に見て戦争の...続きを読む開始は動員から始まりこれだけ大きな歯車は動かし出すと止まりにくいのだという見解からスタートしている。その視点は重要で、個人の暴走を防ごうとして構築された「近代的」システムは、その動作に不可逆性を持っている、つまり動き始めた機関車は止められないという現実を充分に言い表していると思う。
帯に開戦論の常識を覆すとあります。歴史には定説があります。太平洋戦争史は、良くも悪くも東京裁判を基準に論じられています。本書を読むと、別の視点から見ることができ、今までと見方が変わる部分もありました。 例えば、一般的に真珠湾攻撃に先立ち開戦通告が遅れたことが問題とされていますが、本書によれば、「そ...続きを読むものも国際法規によれば、戦争は自衛でしか開始できず、自衛とは攻撃を受けた場合の反撃である」とあります。この場合、通告の手順といった次元ではなく、前提として戦争開始の要件を満たしていなかったことになります。 本書の見方が正しいのかはわかりませんが、発想の転換が図れるのでお勧めです。
誰が太平洋戦争を始めたのかという自らの問いへの回答として、巻末に結論として「太平洋戦争の真の作者は「ハワイ作戦」そのものである。作戦計画が勝手に暴走したのである。」としている。また、「一九四一年十二月の日本の指導者は、作戦がいかなる結果を招くかについて想像することすらせず、しどろもどろになりながら、...続きを読む世界戦争に飛び込んでいったのである。」 と締めくくっている。いまの政治家の言動にも当てはまる指摘ではないだろうか
誰が始めたのか?それを言ってしまうとミステリの落ちをばらしていしまうようで良心が痛むが、あえて言うなら「犯人」自体に目新しさはない。本書の目新しさは、東条英機というリーダーを輩出しその無責任ぶりが戦後も繰り返し批判される陸軍ではなく、主に海軍の責任を、それも太平洋戦争の開戦という点に絞って批判的に検...続きを読む討している点である。ハワイ作戦という手段に縛られ「何のために戦うのか」という戦争の目的や理念が置き去りにされたという指摘は一理あるといえる。 数多くの歴史家の論を袈裟懸けにして断定的に議論を進める反面、論理の飛躍や見過ごせない矛盾も多い。(たとえば著者は緒戦での首都の炎上程度では国民の士気が阻喪することはないというが、現在の常識から見ても当時の情勢からもかなり無理のある議論で、むしろそうした精神主義こそがリベラリストの本来の批判対象であるべきでは。) このような考え方もある、という程度にとらえるなら有用な本だろう。
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別宮暖朗
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