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Posted by ブクログ
昭和52年夏、9歳だった少年ヨウイチはいつだって真鍋さんと一緒にいた…
友だちもいないヨウイチは学校が終わると、すぐに真鍋さんの印刷工場に行き、時には仕事を手伝ったり、一緒に食事をしたり、真夜中まで一緒にいることさえあった
ヨウイチは母子家庭で育ち、母は深夜にならないと帰って来なかったからだ…
ヨウイチは真鍋さんからたくさんのことを教えてもらった!
そんな物知りな真鍋さんのことが、ヨウイチは大好きだった
そんな時、一人の女性が密室から消えてしまう…という事件が起こる
真鍋さんから「透明人間は存在する」と聞いていたヨウイチは、事件に真鍋さんが関係しているのではないか?と不安になる
やがて、あることがきっかけで真鍋さんは海を渡り、ヨウイチの前から姿を消してしまう…
そして26年後、ヨウイチの元に一通の手紙が届く
そこには驚愕の真実が…
途中から作品の雰囲気がガラリと変わる…
そして密室のトリックも、どんでん返しも「こういうのもあったか!」と新鮮だった
そしてタイトルがもう秀逸
『ひとつのものを別の角度から見れば全然別の顔が見える』
深いメッセージのある作品でした
Posted by ブクログ
島田荘司の長編ミステリー。余りにも不可思議な密室、そして殺人事件と、切なすぎるラストが印象的な作品。島田荘司は御手洗シリーズばかり読んできたが、御手洗のいない作品でもこれ程の衝撃的な物語があるのかと驚愕。また、最後は余りにも悲劇的な結びに絶句してしまった。それ程に印象的な作品。
小学生のヨウちゃんと彼の家の隣にたつ印刷所で働く真鍋さんとの物語。ヨウちゃんは学校生活が上手くいかず、家庭もシングルマザーの母親が夜の街に出ており深夜まで不在。そんな中、隣の印刷所で働く真鍋と仲良くなり、様々な事を教えてもらう。
小学生からすれば三十歳位は物凄く大人で、憧れや尊敬を抱いている。彼が印刷所の納屋で謎の機械を動かしているが、その中には透明人間になる薬が入っていて、日本では唯一だと知らされる。
一方、彼らの周りでとある失踪事件が発生する。全く不可解な状況下、女性がホテルから消失してしまう。そして数日後、海で散らかされた彼女の死体が発見される。
ヨウちゃんと真鍋の関係は、小学生時代にだれでも感じた大人への憧れを見事に再現している。どことなくノスタルジーを感じるのは世界線もそうだが誰もが体感したであろう経験に基づく。
また、透明人間が全くの幻想という家事では無く、きちんと意味をなし、伏線回収している部分にこの作品の深みがある。
解決編はヨウちゃんが大人になり、彼の母親も年老いてからになる。ヨウちゃんが小学生時代にした「罪」は、確かに真鍋さんを苦しめたのかもしれないが、真鍋の人生は一変の悔いがなくヨウちゃんと母親に愛情が向けられている。
現実的な目線で余りにも不条理な悲劇であるが、現実においてもおそらく同じことが起きている可能性もあり、島田荘司の社会に対する問題提起が発売当時どのくらい世間に浸透したのかなぁ。
真鍋さんが描いていた理想郷がいつか訪れる事を願いつつ。余りにも悲しい結末でやるせない思いになるが、ヨウちゃん達は自分達を責め続ける事がない様に祈るばかりだ。
Posted by ブクログ
講談社ミステリーランド第1回配本作品の文庫化。
作品冒頭、ペルセウス座流星群の夜が、なんともいえず美しい。
主人公の少年と隣人の男性が、真夏の夜の浜辺に腰をおろし星を見上げながら語り合う…というか、主に男性が語る場面なのだが、その一言一言に心を動かし、見えるもの聞こえるものに敏感に反応する少年の様子が、みずみずしくもせつない。
ミステリーとしては、とてもフェアに書かれているため、謎の核心にあるものが何かは最後の解明を待たずとも察することができる。しかし、それをこの作品のテーマに持ってくるとは、しかもこれほどリリカルに書ききるとは…さすが島田荘司! それに、あっぱれミステリーランド! です。
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小説・文芸
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