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マープルは、かつてともに事件を解決した富豪の死を知る。その一週間後、「ある犯罪調査をしてほしい」と富豪が記した手紙が届く。だが、具体的な犯罪の内容については何も書かれていなかった。マープルは手紙の指示通り旅に出るが、そこには様々な思惑をもつ人々が待ちかまえていた。『カリブ海の秘密』の続篇。
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Posted by ブクログ
ミス・マープルシリーズの長編11作目。9作目「カリブ海の秘密」の続編にあたる。 クリスティが最後に執筆したマープルシリーズでもある。 【あらすじ】 「カリブ海の秘密」で知り合った大富豪のラフィール氏が死去した。氏の遺言である事件の調査を引き受けることになったマープルだが、漠然とした情報のみが提示...続きを読むされ困惑する。やがて、死去前の氏の計らいでイギリス各地の名所・庭園を回るバスツアーに招待されたマープルは、ある場所で悪の気配を感じ取る。 【感想】 「カリブ海の秘密」の続編ではあるが、関係者の再登場は故・ラフィール氏と元秘書程度なので、この本を先に読んでも楽しめる。最初は事件の陰すら暗中模索状態だったマープルだが、持ち前の考察力と事件を感じる力によって徐々に真相に近づいていく点が面白い。怪しそうな人物を多数配置し、誰が敵か/味方かわからない状況を作って読者に色々を想像させる点も読み応えがあった。 タイトルの由来は、マープルが持つ「悪を嗅ぎつけ断罪できる力」をラフィール氏が例えた言葉から。
まず、なにより邦題も「ネメシス」でよかったのではと。日本語にしてしまうと名称としての力強さがなくなり、少し説明じみたイメージになってしまう。ネメシスの方が復讐の女神より力強さや恐ろしさを感じるのは僕だけだろうか。 僕はクリスティがミステリにおける殆どの試行やトリックを編み出し使い尽くしたと考...続きを読むえており、彼女以降の作家は新たなジャンルや作風の工夫こそ出来うるかも知れないが、ミステリの観点でアイデアで彼女の創作を超えていく事は難しいと常々偉そうに語っている(笑) ミステリの形式としては、1.犯人は誰か2.何故事件は起きたのか3.事件の過程を解き明かす4.叙述トリックなどが考えられるのだが、今回は問題は何かというまさかのテーマであり、そもそもミステリの殆どは何かの事件やトラブルに対しての道筋であるはずなのだが、今作ではマープルと同じ様に読者も広大なフィールドに投げ出され、とにかく進んで何かを見つけろと言われている様な気分であり、新しいジャンルを経験している様な気分だ。中盤から終盤にかけて、徐々に今作の解明すべき問題が明らかにされていき、ラフィールが一体何をマープルに託したのか、が構築されていく。大枠としては漫画やゲームの構成と似ているなぁと感じた部分もあり、そういったものがまだ表現されていないなかで、文章で表現されているのは驚きだ。 カリブ海の秘密で共闘した数年後、新聞の死亡記事にラフィールの名前が載る。マープルは彼の名前をようやく思い出し、カリブ海での事件に思いを馳せる。数日後、弁護士事務所を通じてマープルの元にラフィールからの不思議な依頼が届く。何について、誰について、全く何の依頼もなく、弁護士達も何も知らされていない。そんな中、マープルはラフィールが手配したバスツアーに参加する事となり、少しずつラフィールが意図した事件の輪郭が姿を現してゆく。 物語の軸自体を読者が探し、考察しながらストーリーの真相に迫っていく。ある意味で謎解きの幅が広くなり、登場人物達を全て精査していく必要上、読みにくくなる事が考えられたが、全くそんな事はなく、反対に非常に整理された道筋を辿るため読みやすくさえあると言える。 今作は連作のため、カリブ海の秘密から続けて読むと格別だ。(バートラムホテルの事件は次に読む予定)また、本来三部作を予定しており、英題を読み解くと、ウーマンズレルム(女性の領域?僕は今作かは勝手に想像し、女王の庭と略した!!) が完成しなかった事は残念だ。僕は本当にこの二作が好きで、ふたつ合わせてクリスティの10指の一つに選びたい。
マープル 「カリブ海の秘密」の続篇。ただし、未読でも充分楽しめると思う。私はラフィール老人のキャラクターは覚えていたけれど、ストーリーはぼんやりしか覚えてないのでこの後再読してみよう。 だいへん面白かった!自分の場合、クリスティー作品は半分ほどまでは途切れ途切れに読み進めていて、後半になると引き込ま...続きを読むれて一気に読むパターンが多いが、今作はすぐにワクワク読み進めるのが楽しかった。 クリスティー作品では他でもあった若く、可愛い、素敵な女性が、誰からも賛成されない男と熱烈な恋をして結婚しようとする、しかし分別ある大人たちではそれを止めることはできないというエピソード。現在(2021年10月)の日本国民の多くに苦い共感を起こさせるではないかな。 巻末の解説に三部作の2作目となる予定だったが、残念ながら第三作は発表されなかったとあり、興奮した。それは読んでみたかったな〜という気持ちと、でもこの作品でうまく収まっているのでは?という気持ちもある。ところが「アガサクリスティー完全攻略」を読むとどうやら三部作説の根拠が薄弱らしい。真相が気になるが、いずれにしても読めないからな〜。
復讐の女神。アガサクリスティー先生の著書。アガサクリスティー先生の作品はどれも本当に楽しいです。時間を忘れて独特の世界観に引き込まれてしまう。
これはなかなか。 最初は読者もミスマープルと同じく、まったく事件の予備知識がないまま旅にだされるので、読んでいてちょっと退屈、というかモヤモヤするんだけど、事件がだんだん見えてくるとそれに連れて加速度が増していきます。 前作で知り合った金持ちの頑固じーちゃんの遺言に従って動いていくのだけど、あのい...続きを読むいキャラしたおじーちゃんの存在が所々に感じられるのも好ましかったです。 事件の動機も、その周りの人たちの不自然さも上手に配置されていてとても面白い作品でした。
再読というか4回は読んでると思う。 犯人知ってても相変わらず楽しかった。 ジェーンヒクソン演じるミス・マープルのドラマも好きだった。
「カリブ海の秘密」の続編ともいうべき作品。 西インド諸島で共に事件を解決した大富豪の死を新聞で知ったミス・マープルは、しばし感慨にふけったいた。しかし、その大富豪から届いた手紙によって、詳細を知らされぬまま、とあるバス旅行へと誘われる。正義をなしてほしい、という願いを叶えるために。 登場人物表の半...続きを読む分近くをバスの乗客が占めているが、覚えなくても全然問題ないというところに苦笑い。バスツアーのくだりは、退屈なので正直脱落しそうになったが、三人姉妹と出会ってから「何をすべきなのか」がぼんやりと判明しだしてからは、ビックリするぐらい面白くなった。 実際使われたトリックそのものは、途中で気づいたけれど「誰が、なんのために」という部分で、ミスリードにまんまと引っかかってしまった。 最終章で卿や大臣といった名だたる男性陣に「今までに会った最高のこわい女」「たいへんやさしくて、たいへんに冷酷」と評されるミス・マープル。作者の価値観が見え隠れしてこれも面白い。
心優しいおばあさんミス・マープルは、弱々しげに見えるが、じつは観察力が鋭く、不正を憎む女性。 大金持ちのジェースン・ラフィール氏が亡くなり、マープルに遺言である指示をする。 ある調査を成し遂げてくれたら、大金を渡すというのだ。 かってカリブ海での事件で協力し合ったことがある二人。 秘書のもとを訪ねる...続きを読むが事情はつかめない。なかなか詳細がわからずにイライラするマープルだが? 高級なバス旅行が手配されていて、由緒ある邸宅や美しい庭園を見て回ることに。 長く歩くのも難儀になっているミス・マープルだが、同行者に目を光らせる。 どこか見覚えのある女性も、かなり見た目を変えて、参加していたりする。 元校長の女性が転落する事故が起き、マープルを枕元に呼ぶが、わずかな言葉を言い残して亡くなる。 同行者の中には、いぜんのことについて、証言をしてくれる人も。 旅行の途上で、ラフィール氏の知り合いだという3姉妹の住む屋敷・旧領主邸に招かれる。 17世紀の建築で魅力があるが、どこか変わった雰囲気の立ちこめる古い屋敷… しだいに、ラフィール氏の息子マイクルに関わる事件が明らかに… 少女ヴェリティ・ハントの殺害犯として投獄されているのだが、非行の事実はあっても殺人者のタイプではないという意見があったのだ。 クリスティの晩年の作品。 マープル物としても書かれたのは一番最後。本当はこの後1作あって3部作にまとまるはずだったとは惜しまれます。 これがドラマ化された物を見て、原作と違うように感じたので、再読。 年代が作品が書かれた1970年頃ではなく、ドラマは戦後あまりたっていない頃(ミス・マープルがもっと元気だった頃?)になってましたね。 原作は出だしがゆっくりしているので、ドラマの改変も一部は効果的で、わかる気がします。足された物もクリスティ的なエピソードなので、短編にあったモチーフなどを入れていた気がする。 ただ…あそこまで変えなくてもいいと思うのだけど。
70代ミス•マープルの冒険活劇。 なにが謎なのかもわからない五里霧中の中、足で歩き、人と話し、観察し、危険な橋も渡る。 「カリブ海の殺人」の続編。 この次の作品は未発表で読めないのが残念。
思えば、マープルシリーズを読み始めたのは、たまたま読んだ「カリブ海の殺人」からだった。「復讐の女神」はその続編で、3部作の2冊目になるはずが、著者の命が尽きるまでに三部作が完成することはなく、ミスマープルシリーズとしては最後に執筆された作品になってしまったという曰く付きの作品。マープルと言えば控えめ...続きを読むに登場することが多く、作品によっては物語の後半に初めて登場して、ちょこっと顔を出すだけという作品もあるのだが、「カリブ海」とこれはミスマープルが大活躍。謎解き要素は凡庸だが、多彩な人間模様と謎に包まれたスタートで読ませる。
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