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自分は殺人を犯したらしい。相談したい。そう言ってポアロを訪ねてきた若い娘は結局何も話さず立ち去ってしまった。その午後、事情通のオリヴァ夫人から事情を聞いたポアロは俄然興味を示し、夫人とともに調査を始める。だが娘の周囲に殺人の匂いはなく……死体なき殺人の謎をポアロが追う。
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Posted by ブクログ
翻訳はほぼ満点! 不自然なところが殆どなく、クリスティのユーモアがとても活きています。それだけでまず星五つの価値があります。 お話も充分に面白いし、トリックも私には充分意外だったし、楽しめました。
ポアロは決してなんでもお見通しのホームズの様な探偵ではなく、思考の手順や道筋を整理しながら、ジグソーパズルの様に組み合わせていく、とても人間味のある探偵だ。従って、当然、推理の道筋が違っていて軌道修正する事もあるし、事件の連鎖を未然に防げない事もある。しかし最後には真実に行きつき、そしてハッピーエ...続きを読むンドで物語は結末する。今回もとある二人の人物が、ポアロの策略によって結ばれる事になる。彼はキューピッド役を務める事がしばしばあり、幾つかの事件の後、ポアロの御節介により幾つかのカップルが誕生している(笑)。これはある意味でポアロシリーズのお約束でもあり、味の濃いミステリー本編を爽やかにするための要素でもある。 今作はスタートが変わっており、とある若い女性がポアロの探偵事務所を非常識な時間に訪ねて来る。彼女は、「人を殺したかもしれない」と言い放ち、しかしポアロを見たとたん、年寄り過ぎるという理由でいなくなってしまう。ポアロはショックを受けるが、娘については気に掛かり、「死体」の痕跡を探し始める。 そんな中、オリヴァ夫人の強引な(笑、いつもそうだ。)招待を受け、昨日のショックについて話していると、どうやら娘のきっかけを作ったのはオリヴァの可能性があり、名も知らぬ相談者のきっかけをポアロはつかむ。まだ殺人が起きたかどうかもわからない霞がかった状態から、ポアロは経験により何かの悪意を感じ、それを調査させていく。 作中、ポアロシリーズ同じみのキャラクターが総出、ジョージ、レモンは両方登場し(珍しい?)情報屋のゴビィなども登場する。主題「第三の女」は、アパートのシェアをするサードガールと文字通り三人目の女性の意味合いもあり面白い。 レスタリック家を巡る騒動になるが、トリックは再読の為、なんとなく記憶にはあったが、改めて楽しめた。設定が現代と似ている環境下でもありイメージを持ちやすく、読みやすい様に感じた。いつの時代も年寄りは若者を受け付けないらしい。また、今や伝説的なビートルズ等も型破りで受け入れられなかった時代のイギリスを読み取る事ができ、面白い。 物語冒頭から何を捜査しているのか。がテーマになる訳だが、読者もポアロと同様にこの小説のパターンを見出すまで時間がかかる。オリヴァのとある発言をきっかけに物語が動き始め、いよいよ大詰めか、というところで衝撃的な事実が判明する。過去にない手法だが、ミステリーとしては丁寧で、きちんと作中にヒントが残されている(最後は流石に驚きだが)父親のレスタリックの半生と娘の悲哀がとてもアクセントになっている。 推理小説としてとても丁寧な構成の作品だが、事件の取っ掛かりがあるまではポアロとオリヴァの冒険譚であり、長く感じてしまうかもしれない。シリーズを読み慣れている人は、ポアロとオリヴァのやり取りを楽しみながら進める事ができるだろう。
ポアロ 読後感は良い。途中がとにかく長い。なかなかちゃんとした事件が起こらず。 ところでクリスティー作品ではよくなりすましやなりかわりの登場人物がいて、そのたびに「んなわけないやろ。気づくやろ」って思ってしまう。でも歌舞伎ではしょっちゅう役名◯◯実は△△、ってあってそんなに不自然とも思わないので、古...続きを読む典みたいなもので、現代ほど光量がないからって思えばよいのかな。
死体なき殺人事件。 今回はオリヴァ夫人の冒険もあり、 面白かった。 ポワロの思考が細かく書かれているのも珍しい。 最後は暖かいパパ・ポワロ
「殺人を犯したかもしれない」そう言い残してポアロの元を去った若い娘と、その周りの人々を巡る死体なき殺人事件。 殺人事件が起こってから犯人を探してゆく、という従来のスタンスとは違って死体そのものを見つけるという趣向が面白かった。人物描写も細かくてしっかりと練りこまれてる感がたっぷり。どういう人物か頭...続きを読むの中で思い描けるのがテレビを見ているようでいい! ただポアロの逡巡が堂々巡りのような気がして中盤少しだらりと(私が)してしまったので星4つ。動機を探るというやり方も私が好んで読んできたミステリーの中にはあまりないので新鮮、というか慣れるのに時間がかかりそうだなぁ。
人を殺した“かも”しれない、という頼りない娘の話に興味をひかれ、ポアロとオリヴァ夫人が殺人事件の存在から探し始める。 先が見えない展開で面白い。
ポアロもの。 ある朝、ポアロの元に「自分が犯したらしい殺人について相談したい」と、ノーマという若い娘が訪ねてきます。 ですが、ポアロを見た彼女は「(ポアロが)お年寄りすぎるから・・」と、結局何も告げないまま去ってしまい・・。 朝食を邪魔された挙句に「年を取り過ぎている」(←言わば、“オジイは無用...続きを読む!”ってこと?)と、言われてしまい、しょっぱなから大ダメージのポアロがお気の毒。 とはいえ、“腹は立つけど、殺人があったのか気になる”ってことで、オリヴァ夫人全面協力のもと、捜査を開始することに・・。 さて、「殺人しちゃったかも・・?」と言っているノーマなんですが、話を聞いても支離滅裂だしあまりの情緒不安定っぷりに、“この娘、ク〇リやっているんじゃ・・?”と思っていたところ・・あらら・・(自粛)。 このように、ノーマも訳わからん娘なのですが、彼女を巡る人々・・ノーマの家族や、その屋敷にいる外国人の女書生、オリヴァ夫人に“孔雀”呼ばわりされるチャラ男の彼氏(本書の表紙が孔雀ってのがまたww)、ノーマのルームメイトの女性達、さらに急に登場した精神科医、等々・・うーん、皆怪しい・・てか、そもそも殺人があったのか?五里霧中って感じのまま展開するのですが、何だかんだで先が気になって、ページを進めてしまうんですよね~。 (ポアロとオリヴァ夫人との掛け合いも楽しいですし♪) そんなフワついた状況の中、バラバラだったヒントの断片から推理を構築して、真相に行きつくポアロは(お年を召していても)やっぱり流石ですよね! ということで、今回も楽しく翻弄された私でございました。 ところで、自覚があったかどうかわからないものの、どエライ目にあわされていたノーマですが、“あの彼”と是非幸せになって頂きたいですね~。
【ポアロ】 1966年クリスティー76歳。 「自分が殺人を犯したような気がする」と、若い娘がポアロのもとに訪ねてきた。 その後オリヴァ夫人と共に調査を始める。 またもや女性推理作家のオリヴァ夫人登場。 今回はまるでタペンスのような暴走をしてしまう。 ビートルズが出てくるので、古典作品のイメージから...続きを読む急に現代的に感じる。 不可解な娘の言葉だけで、本当に何かが起きているのかわからないままの途中が長い。 そしてまたあの作品と同じようなツッコミを入れたくなった(^o^; クリスティー作品は攻略本を見て面白そうな順に読んでいる。 60冊を超えたので自分のあまり好きではないタイプだったり、攻略本でも評価が低い作品ばかり残ってしまった…。 そのため最近クリスティーのレビュー評価が低めになっているけど、それでも読み続けたい魅力がクリスティーにはある。 まだいける!
ミステリの導入はその後に始まる又は既に始まっている事件をどのように捉えるかを決定付ける重要なポイントだと思っているのだけど、本作ほど実態を掴めない導入は珍しいかもしれない ポアロを頼ってやって来た依頼人、けれど彼女が口にしたのは「自分が犯したらしい殺人について相談したい」などとちょっと要領を得ない...続きを読むものだし、結局依頼をしないままに帰ってしまう これ程までに「これから事件が始まるぞ!」と思えない導入はやはり珍しく思える ただ、ポアロは依頼人が去り際に口にした「年をとりすぎていらっしゃるから」なんて言葉に触発されて動き出すのだから、別の意味で面白さがあるが 本作の特徴的な点は先に上げた導入部も有るだろうけど、殺人事件が一向に見つからないという点も上げられるね 依頼人になる筈だったノーマが殺人について言及したのに彼女の周囲にそれらしき殺人は無い 彼女の人間関係を探ってみても殺人が起きそうな気配は彼女以外から一切感じない 夢遊病のように歩き回るノーマが夢の中で人を殺し、それがいずれ現実に起きるのではないかと誤解してしまう程に殺人の気配は希薄 もう一つの特徴は殺人事件が見つからない為にポアロが手にする情報も方向性が生まれない事だね 何処に殺人が有るか判らない。だから探すべき情報も判らない。そうしてポアロや読者に提示される情報はバラバラ過ぎて推理の役に立つものが混じっているのかすら曖昧 物語が進展するのはやはり隠された殺人が見つかってから。でも、それだってその死が何を意味しているのか全く判然としない それだけにポアロが「サード・ガール」の意味から事件の真相に気付き、更に事件が新たな展開を迎える流れは秀逸
ほほお、そうきましたか。 散らかっていた事象が一つに集約される瞬間が好きだなあ。 「自分が犯したらしい殺人についての相談」と聞いた時点で、これは何かあるなと分かる。 結局、その“何か”には最後まで気づけないが。 まあでも自分なりに推理しても、ちっとも当たらないのが楽しい。 そして、ロマンスを忘れない...続きを読むところがまた良い。
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