無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
解説で嘉門達夫さんが言っていた通り、重松清は弱者を描くのが上手いですね。
五話収録の短編集ですがどれも世間的に言われる「負け組」「しがない中年」がメインテーマです。が、主人公ではありません。
しがない中年の負け組みおっさんたちは淡々と日々を過ごし、それを眺める周りが主人公です。
多分誰もが一度は思うであろう、「このおっさん、定年間近なのに役職なしで生きてて楽しいのかな」とか「この人まじで存在感無い。家族とか大丈夫かな」とか、そんな視点で話は進みます。
代表作、「口笛吹いて」では少年時代のヒーローが暗く卑屈な営業マンに成り下がった様を発見した幼馴染が、「タンタン」は生徒にまで無視される高校教師、「かたつむりの疾走」は子会社に下ろされてなお背広を着て通う親父と息子の葛藤・・・
本当に日常的で、誰もが一度は思うであろう卑屈な見下しとか、他人に対する期待や希望と現実のギャップとか、ウ~ンとうなる、上手い話です。
とくに「タンタン」と「かたつむり」は若いうちに読んでほしい!まだ本当の社会の姿を知らなかった高校生の純粋な気持ちを忘れないうちに、「社会」や「大人」に反発しながらも一方で期待を寄せて甘えていたあの時代を忘れないうちに!!
その気持ちを頭に残して、と情けない大人を見たときの何ともいえないがっかり感が思い描ければ、いっそう楽しめるかと。
残りの二話はそういう人生に詰まってしまった大人が主人公です。
ただ、学生気分が抜けないからでしょうか、人生に躓いたことがまだないからでしょうか、「タンタン」と「かたつむり」が一番印象に残りました。
Posted by ブクログ
ちょうどいいタイミングで読んだからだと思うけど、泣きそうになった。
いわゆる「負け組」を優しく、緩やかに描写した短編作品が5つ。
最終的には結局、何も解決しないんだけど、逆にそこがいいと思う。
当初、短編集には抵抗があったんだけど、すぐ入り込んでしまった。
これ読むと、自分が誰かに勝ったとか負けたとか、深層心理でどれだけ意識しているかよく分かる。
人生、絶対勝ちっぱなしというワケにはいかない。歯ぎしりするほど悔しかったり、一回負けるともう這い上がれなかったりすることがきっとあると思う。
そんなとき、もう一度この本を開きたいと思う。
個人的には誰かに薦めたい。
Posted by ブクログ
どこかのHPで「かっこ悪い中年像」を描く重松さんというような発言を見ました。確かにそうだけど、同世代の私から見れば、格好悪いというより「けなげ」という感じがします。
「かたつむり疾走」の父親にしても、スーツ姿に固執するわけではなく、なんとなく照れくささもあって最初から作業着になれないだけでして。。。。
そんな父親が偶然とはいえ、彼女の危機を救おうとして、逆にボコボコにされるのですが、それも決してかっこ悪くは無くて。。。。
何はともあれ、この作品では高校生の子供が、なんとなく父親を理解してくれてる感じが良くて、とても救われます。
それにしても、子供の視点から見た普通の大人を描くのが美味い作家さんです。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。