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ベネチアのサンマルコ広場を舞台に、流しのギタリストとアメリカのベテラン大物シンガーの奇妙な邂逅を描いた「老歌手」。芽の出ない天才中年サックス奏者が、図らずも一流ホテルの秘密階でセレブリティと共に過ごした数夜の顛末をユーモラスに回想する「夜想曲」を含む、書き下ろしの連作五篇を収録。人生の黄昏を、愛の終わりを、若き日の野心を、才能の神秘を、叶えられなかった夢を描く、著者初の短篇集。
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副題から分かるように全ての短編に音楽の要素が出てきますが、もうひとつの「夕暮れ」はどういうことだろうと思いながら読んでいました。訳者あとがきにも書かれていましたが、音楽以外にももうひとつ男女関係・夫婦関係の危機というモチーフも全ての短編に共通しています。登場人物皆もう若くなく、ある人は結婚した時の状...続きを読む況とはお互いの関係や自分の感情や人生に求めるものが変わっていたり…。こういう人生の盛りを過ぎてそれでも残りの人生を生きていく人々を「夕暮れ」という言葉で表現しているのでしょうかね。思えば『日の名残り』もそのような意味合いでしたか。 ひとつひとつ心にしんみりとした感覚を残す短編でおすすめです。
Posted by ブクログ
短編集。笑って、しみじみして、唸って、ため息ついてまた笑って。 一番好きなのは「降っても晴れても」。 どれもラストは僕好みだった。
カズオ・イシグロ(1954-)は、『日の名残り』(1989年)で、イギリスで最も権威ある賞「ブッカー賞」を受賞した、世界的作家。長崎県長崎市で、日本人の両親の元に生まれましたが、5歳でイギリスに移住。成人までは日本国籍、その後、イギリスに帰化しています。2010年に映画化された『わたしを離さないで』...続きを読むで、また、2012年4月に、NHKで「カズオ・イシグロを探して」と題したドキュメンタリーが放送され、日本でもより知られるようになりました。 『夜想曲集』(2009年)は、「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」という副題が付いた、初の短編連作集。どの物語も、人生の後半や終盤にある人物が、自らの過去(=夕暮れ)を、ジャズ、クラシック、ポピュラーなどの音楽とともに振り返ります。 この連作短編集を読んで私は、自分が若い頃にこの本に出会ったならば、今とは違い、ストーリーの展開や場面設定の巧妙さにばかり感嘆しただろうと思います。しかし、人生も優に半ばを過ぎ、振り返る時間が堆積した今、私がこの短編集から読み得たのは、感情の渦に巻かれ、愚かしい選択を繰り返してきた人間の、それでも肯定する他ない人生への愛着でした。 いずれにせよ、これが私の人生だった。そしてこれからもそれは同じ――。作家と出身地を同じくする私は、身勝手にも、遠いイギリスからそんな激励をもらった気持ちなのです。(K) 紫雲国語塾通信〈紫のゆかり〉2012年1月号掲載。
なんかこう切ない雰囲気がとても好き。 イシグロさんって、淡々と進む情景描写に、綺麗な色の哀愁を乗せるのがとても上手な作家なんだと思う。たぶん、情景と感情の絵をいつも思い描いている人。うまく色が溶け合わさせて、読者を癒してくれる。 この本はそれがすごく出てる。 サンマルコでいつかこんな音楽家に会え...続きを読むますように。
過ぎ去りし時代の音楽は知らない曲ばかり、YouTubeで探し聴きながら読んだ。格調高い文章は行間に時間の狭間が織り込まれる。情景を空想し登場人物に自分を重ね合わせて読む。すると今日一日疲れた体、心が癒される、不思議な文体である。
4冊目のカズオ・イシグロの作品である。 カメレオンのように作風を変えられる、“ひとり映画配給会社”と私は彼を呼んでいる。 そのイシグロは、実は音楽にも精通していて、シンガーソングライターを目指していたこともあったとか。そんなところから生まれているのがこの短編集で、5篇をひとつとして味わうように求めら...続きを読むれており、すべてミュージシャン(もしくは音楽愛好家)を題材としている。 今まで読んだ中で、最も読みやすい、ムード漂う作品集である。ドラマ性や落ちはなく、人生の一瞬を描く趣向となっている。長編小説とは全く異なる素顔のイシグロの感性が垣間見られた。 主人公は皆、才能はあるが認められておらず、たゆたゆと人生を彷徨っている。読み手も、物思いに耽りながら、カフェで頁をめくるのにうってつけの良書ではなかろうか。 私のお薦めは、コメディタッチの強い中盤3作品よりも、コリッとした読後感のほろ苦さ(これが著者の本領)がある「老歌手」、「チェリスト」。 ヘンな言い方だが、カズオ・イシグロって大家のように思って見てたけど、現代作家なんだよね。
常に音楽が流れている短編集。 冷めきった関係を復元しようとする老歌手や、メジャーデビューのために整形手術を受けるミュージシャンとか、設定が微妙に現実離れしているところに面白さがあって、すぐ読めてしまいます。 面白くて品のある短編集です。
副題は「音楽と夕暮れをめぐる五つの物語」。 全盛期を過ぎた歌手が再起を目指して愛する妻と別れようとする「老歌手」。 音楽の趣味でつながった大学時代の友人夫妻との、今となっては埋めようもない価値観の溝をコミカルに描く「降っても晴れても」。 メジャーデビューに目指し作曲にいそしむ主人公が旅回りの音...続きを読む楽家の夫妻とのわずかな交流の中に、人生のままならなさを感じる「モーバンヒルズ」。 「夜想曲」は、「老歌手」で出てきたリンディが再び登場する。 風采の上がらないサックス奏者が整形手術を受けさせられ、術後を過ごすホテルの隣室に彼女がいる。 二人とも顔を包帯でぐるぐる巻きにされている中で、退屈しのぎに深夜の高級ホテルの中を歩き回る。 なんとなく『ローマの休日』のような、昔の映画にあるロマンチックコメディ風のドタバタ。 が、結末はちょっとほろ苦い。 最終話は、音楽院を出たものの、その後の演奏活動で行き詰っている若手のチェリスト、ティボールの物語。 広場で出会い、彼にレッスンをする謎の女性。 彼女はいったい何者なのか。 才能と教育の問題を考えさせられる。 どの話も、主人公は天才的な音楽家というわけではない。 音楽に関わりながら、時にままならぬ人生を生きる人々だ。 割とドライな筆致でありながら、どこかにこうした人々の哀感がにじんでくる。 すばらしい短編集だった。
短編。男女の関わりと、音楽を絡めた作品群。一作目の老歌手が好き。相手への気持ちと自分の有りたい姿を切り離して、違う道に進むのが哀愁ただよいつつも気持ちが良い。
チェロの師匠の話が衝撃で面白かった。 船と歌のシーンは、ロマンティックなムードの情景が頭に浮かび、印象に残っている。 素敵だった。
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カズオ・イシグロ
土屋政雄
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