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「ほんの少しの起きている時間で、パン一枚だけ食べて、書かなくちゃならない原稿だけ死ぬ思いで書いて、猫の世話だけは何とかやって、あとはとにかく臥せっているしかありませんでした」望んだ再婚生活なのに、心と身体がついてゆかない。数回の入院生活と自宅療養、うつ病をわずらった作家が全快するまでの全記録。克明な日記の、2年2ヶ月の空白期。書けない時期に何があったのか──。文庫化にあたり60枚を加え、重症期の闘病を明かす!
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Posted by ブクログ
人の日記を盗み見しているような気になるエッセイ。いや、こんな無茶苦茶な生活してるって書いちゃって良いものなの?!鬱病なのにお酒も煙草もやってていいの?!ただ、そのぶっ飛んでる分読んでいるのは面白かった。酷い時期を脱した後を読んでいると、やっぱり無茶苦茶な暮らしは体を痛めつけ、それは心にも通じていたの...続きを読むかな、なんて思ったりする。 前半を読んでる間に話に引っ張られて自分自身がかなりウツウツとしてしまった。ある意味自分よりもっと酷い状態の人がいると救われていた部分もあるけれど、いつ読むのがベストなのか難しい。
「そしてわたしは一人になった」の続編。 「再婚生活」という主題だけれど、実際は副題の「うつ闘病日記」の内容が濃いエッセイだった。 かなり赤裸々に描かれているので、冒頭に筆者が書いている通り、精神状態がよくない人は要注意。引っ張られてしまうかも。 わたし自身も7年ほど前にうつで退職した上、仕事でカウ...続きを読むンセリングにも関わっているので身近な話題。 よく言われることだけど、うつになりやすい人の特徴として、真面目に考えすぎる、人に頼るのが苦手というものがある。 エッセイを読むと筆者の真面目さ、思慮深さや観察力が鋭いからこそ傷ついてしまう苦しみを感じる。 また完璧主義で成果が出ない時間を待つことができない性質も、うつになりやすい人の特徴なのかもしれない。これも筆者に共感した。 メンタルヘルスケアは世間的に身近になってきてるし、個人的にはもっと身近に気軽になって欲しいと思うけれど、目に見えないし必要な人こそまだハードルが高い行動だと思う。 身近な人に頼る練習や、作中の最後にも出てくるように、日記を書いて客観視する、悪いことだけを考えない、というのはぜひ実践したい。 また自分の身近な愛する人の心の健康にも目を向けたいし、必要な時に手を差し伸べて助けたいと思った。 それが自立というものだ。たしかに。 ■引用 「手に入っているものが多ければ多いほど、人の気持ちは安定するのだと、私も昔思っていた。だからこそ、前の離婚直後、通帳の残高が赤字だったところから始めて約九年、誰かに何かを 貰うんじゃなくて、努力をして、私が私にコツコツと恵んできたのだ」 「反感を買うかもしれないが、恵まれているんじゃなくて、私が私に多くのものを恵んできたのだ」 「ほんとは自分の生活が王子に浸食されている部分があって、そのことに怒っていることを私は認めたくなかった。王子はいつだって優しい夫なので。でも、認めて、解決しなくては、体も治らないのかもしれない」 「年齢的にも(四十代になった)環境的にも(中堅作家になった・再婚した)大きな変化があったので、それに伴って考え方も物事のやり方も、今まで通りでは通用しなくなっていて、新しいベクトルの方向を模索しないとならないという自覚がある」 「私は時間において、王子を疑りはじめているんだと自覚。これからの長いはずの結婚生活、それを 諦めてゆくんだな、そして自衛してゆくんだなと思った。振り回されないように。気持ちを乱されないように」 「ずっと私はうつになった原因は、なにか心因性のものだと思っていた。仕事上のいろいろなストレスや引っ越しや再婚で、感情のバランスが狂ったのだと思っていたけれど、そうじゃなかったと最近しみじみ思う。だいたいその「外から攻撃された」という被害者意識がまずいけなかった。 私の場合、悪い体が黒い心を生んだのだ」 「人にショックや怒りや不愉快な感情を起こさせて物事を考えさせるという手段は有効なのかもしれない。けれど私はしたくない」 「世の中に向かって表現をできる技術を持っている人間は恵まれている。だからこそ自重も含め慎重にならなければいけない気がする。偽悪的になったり、それを感情任せで論破したり、したり顔で分析したりすることは、ネットの2ちゃんねるで行われていることと大して変わらない気がする」 「リンダの 旦那 さんはそっけないらしく、彼女が用事で外出から戻っても「どうだった?」とまったく聞かないそうだ。ああ、それってまさに私の前の夫もそうだったなと思う。昔、私は前夫に「なんでなんにも聞かないの?」と尋ねて「興味のないことを延々と聞かされたくないから」と答えられたことがある。きっと私の話がくどかったのだろう。でもヒドイ。王子はそんなことは言わない。それとも言う日がくるのだろうか」 「調子の悪いときは誰でも多かれ少なかれ視野が狭くなってしまいますが、この頃の私は悪い材料ばかりに目がいっていたので、日記メモを残しておけば、夫が私に「ほら、具合のいい日もあるんだから大丈夫。ずっと悪い日が続いているわけじゃないんだよ」と説得できると考えたそう」 「身近な人が、それまで貫いてきたであろう意志がぐらついてきているのに気がついたら、気をつけてあげて下さい。単に怠けているだけだと決めつけないで」 「つまり自立とは、自分さえ良ければいいというわけでなく、弱った人を助けることができることだと知ったから」
山本文緒は元々好きな作家だったけれど、うつ病の話は暫く知らなくて、この病気にかかってから読んだ本。 彼女はとても周りの人に恵まれたのだなあという事が良く分かります。 本人も大変だけど、周りの人間はもっと大変だものね。 優しいダーリンとお友達に囲まれて、少しずつ立ち直っていく筆者の姿は、私から...続きを読むしたら物すっごく羨ましい。 私にはお金もないし、支えてくれる人もいないし。 でも悪い事ばかり考えていてはいけないんだなあというのは頭のどこかで理解する。 理解するけど納得しない辺りが私の性格の悪さを垣間見れるんだけれども(笑) 私の病気は正確には鬱ではないけれど、立ち直れた人と何が違うのかなあっていつも考える。 病気は人それぞれ違うから、正確な答えはないのだろうけれど。 後がきにもあったが、ここまで冷静に自分の不調を書き止める事が出来た、作者の『作家』という職業が大きく働いた事に疑問の余地はない。
ちょうど自分が落ちていた時に読んだので、随分助けられる。山谷を繰り返しながらオブラート剥がすように、少しずつ良くなっていく様子が、訥々と記されているからだ。 日記はだんだん良くなっていく様子に、ほっとしていくが、日記の後に書かれている丸三年間の回顧録が、実に興味深かった。ここには本当のところの状態が...続きを読む記されている。情緒不安定で死にたいと思う死ね死ね団に襲われているという日記には書けなかった事を知ることができる。こちらを最初に読んで、日記を読み返すと、興味深い心のうちを知ることができるかもしれない。
2003年から2006年にかけての日記形式のエッセイ。うつで沈んでいく様子や少しずつ回復していく様子がリアリティを持って描かれている。著者はほぼ私と同世代なので、当時の医療のレベルもなんとなく分かる。 周りの家族やスタッフに恵まれて、彼らを巻き込みながら、回復出来たことは良かった。
「自転しながら公転する」の解説を読んで 山本文緒さんが亡くなった事を知った。 山本さんがどんな方だったのか知りたくて この本を読みました、印象に残る言葉が たくさんあった。 病気が見つかってからの「無人島のふたり」も 読みたいと思う。
文庫だと「私のうつ闘病日記」とサブタイトル?がついている。単行本を出したときには、まだ「鬱」という病気に対して吹っ切れていない部分があったそう。まだ距離を取りきれない、引き戻されてしまう怖れを感じていた、ということかもしれない。 ややもすれば深刻になりそうなところを、読み手への気遣いなのか、作家と...続きを読むしての気概なのか、ユーモラスにも感じられるような緩やかな筆致。 「王子」目線で読んでいたかもしれない。言語化された鬱屈に、そういうことだったかと、ため息をつきつつ。そしていつかはそれを宥めることができるようになる、こともある、という希望が少し。 書けなくなった日々をはさみつつ、書きたいという意志が彼女を引き上げたのだろうか。私の娘を引き上げるものが、娘のうちからも湧くことを願う。
2003年から2007年にかけて書かれ、月ごとに雑誌に連載された日記スタイルのエッセイ。単行本化は2007(平成19)年、文庫化は2009(平成21)年。 筆者山本文緒さんの当初のつもりでは、最初の離婚から数年、直木賞などを獲得し再婚を果たしたところで、この2番目の結婚生活の模様を描いてゆく予定...続きを読むだったらしい。 が、次第に「うつ」の状態がひどくなっていき、すっかり「うつ日記」になってしまったようだ。 前半ではうつ症状の一つとして胸に激甚な痛みを覚えて救急車を呼んだりもし、やがて入院することになるという展開。もっとも、入院してもノートパソコンを持ち込んで少し仕事などもやっているようで、察するところ、「うつ」としてもさほどの重態ではないようだ。 苦しみながらも入院生活を日記として書いて、そこにはかなりの頻度でユーモアも紛れ込むので、読んでいて楽しい。 が、この前半部(2004年2月まで)の後、後半が始まる2006年6月までのあいだに、2年以上も沈黙の期間がある。実はこの空白の時期が、もっとも重態の「うつ」であったようだ。 巻末に収められた、文庫化に際して著者が追加した文章「改めてふり返ってみました 2004年3月〜2006年5月の出来事」にその部分が回想されて書かれている。もはや家事どころか執筆の仕事も全くできなくなり、実に行動不能の暗澹たる状態。もう寝てばかりいるほかない、この状態は、ピアニストのスヴャトスラフ・リヒテルの「うつ期」の様子に似ている。 山本さんは何度も転院を繰り返し、もんどり打ちながらも、やっと理想的な病院に入院。ここでやっと快方に向かい、その後の自宅療養でも何とか持ち直していって、やっと治癒の状況までこぎ付くのである。 前半部分で登場する2番目の夫「あだ名:王子」は、当初別居婚というやつで、週に一度か二度会う程度だったのだが、どうやらこの「空白期間」の症状悪化の時期に(妻の面倒をみるために)同居を始めたようだ。さらに最悪の時期には、自分の会社を休職し、何とかして妻を支えるため、必死な様子で傍に座っている。素晴らしく優しい旦那さんではないか。 最悪の頃は、温厚なはずの山本文緒さんが家の中で物を投げ飛ばして暴れたりもするのだが、そんな危機の状況にあっても、「王子」さんはよく堪えている。 文緒さんの方はもはやどうにもならないようなこの時期、ついに希死(自殺)念慮にも囚われ、いよいよ夫の方も心配そうだ。この辺の二人の人間関係の激しさは、並みの小説よりも濃く、重い。 本書を読んでいると山本文緒さんは、ちょっと風邪を引いたときなども、自分について考えこんでしまう内省的な面がとても強い。なんにも反省しない人ならラクだろうけれどいろんな失敗をやらかしそうだ。かといって、ここまで内省的だと、確かにしんどいストレスがたまっていき、うつが昂進すればいよいよ真っ暗な閉所に閉じこもってしまうかのような態勢にならざるを得ない。 ひどい状態のときは、この閉鎖的な自己意識との泥沼の格闘状態で、自分と身近な他者との関係についてなら考えられるし、その他者にとっての世界ということまではなかなか思い至らないし、ヒトゴトのように見えるだけで終わってしまう。たとえば夫にとってどうしてあげたらよいのか、全く考えられないわけでもないがそうした行動に至ることはできない。自己の泥沼の吸引力が酷すぎてそこに留まることしか出来ず、自己を「超えて」他者の方へと「跳躍」することが不可能なのである。 だが、徐々に快方へ向かい、ついには医者からも「完治宣言」が出され、山本さんもやっと、「夫のために」行動することが出来るようになり、ようやく「幸せ」までこぎ付いたのだ。 自己を振り捨てて他者のために行動すること。そこに見える幸福が、すなわちback numberの「瞬き」の「幸せとは・・・」に該当するのだろう。「うつ」の最悪の状態ではもはや脳内の化学物質の状態が異常な割合になっているために、本人にはどうにもならないのだが。 最後にほぼ全快の状態に至る本書は、私には生半可な小説よりもずっと感動的だった。やはりこの作家の心は、私には強く共感できる感じがする。 40代でこの深甚な「うつ」体験を経た彼女は、優しい夫とともに、幸せに暮らしたのだろうか? 2021年、58歳で癌で亡くなるとき、彼女は何を感じていたのだろうか?
丁寧な文章でやんわりとした言葉で書いてる日記だけど、グッと心を入れて読むと深く刺さる言葉ばかり 再婚生活だけど鬱病のエッセイ
無人島のふたりを読む前に再読。想いあって助けて貰えることのありがたさを感じられたけど、鬱の描写が辛い。弱ってる時に読んだら引き摺られそう
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