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学生はワンコインで食べられる夜食専門店。痩せて可愛くなりたい若葉、何を食べてもおいしくない学年トップの小春、オーガニック料理だけで育った凌真......。悲しみや寂しさを少しずつ消化できるように、店主の朝日さんは愛情を込めた一皿をつくる。孤独な心に力が満ちて、止まっていた時間が動き出す。世界一優しいお夜食で再生していく感動作。
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Posted by ブクログ
つらくて、悲しくて、優しいご飯を求めている人がふと誘われる、あたたかい『お夜食』を出してくれる料理屋さんと、そのお店に誘われた女の子の物語です。 主人公は、志望校に合格できず、受験を失敗したことを引け目に感じている高校一年生の女の子。自分のせいで家の中はぎくしゃくし、せめて大学受験はがんばらな...続きを読むければと必死に勉強をするも、学校の部活や友人関係はうまくいかず、家族との関係も悪くなっていくばかりで、毎日の塾通いも嫌になっていってしまう。段々食べるごはんまで味を感じなくなってしまっていったある夜、『お夜食処あさひ』に誘われて、自分のためのお夜食を作ってもらうことに。 そのお店にやってくるのは、常連さんの他に、特別に『誘われた』人。ダイエットのために「食べたくない」女の子、健康志向の親に普通のお菓子を「食べさせてもらえない」男の子、愛犬を亡くした悲しみで「食べられなくなった」男の人。さまざまな人の気持ちにそっと寄り添う、優しくてあたたかいその人のためのお夜食を通して、ほっとお腹の中が温まるような話が続く。 作中で、『本当の夜はこれから始まる』というようなフレーズが何度かあるのだけれど、この言葉だけを見ると『本当の夜』⇒『辛くて苦しい暗いもの』というイメージを思い描いてしまいそうなところ、この作品では『ぽっと灯りがともるような優しく包み込んでくれるもの』という位置づけで描かれているのが印象的です。 寒い夜、眠れない時に誰かが作ってくれた優しい味を思い出します。 お話自体は淡々と進むため、起伏は少なく感じるかもしれませんが、とても優しく染み入る作品でした。 作中で出てくるお夜食レシピ、私も真似したいと思ってしまいます。 誰かに優しくしてほしい時、誰かに優しくできなかった時、そっと読み返してみたい一冊です。
「ごはん」という文字を見てから気になっていた作品。 表紙の絵が可愛らしくて、また帯には青春物語とあって、手に取るのを躊躇していたのですが買ってしまった。 でも、買って読んで良かったと思っています。 ネタバレになるので詳しくは書けませんが。 舞台は、「お食事処あさひ」お夜食を出してくれます。 そこに...続きを読む各々の事情で「食べたくない」「食べちゃだめ」「食べてみたい」「食べられない」そんな思いを抱えた人がやって来ます。 辛く、心の奥で凝り固まった気持ちを店主の差し出すお夜食で優しく解いていきます。 似たような設定の作品はあるかもしれませんが、描かれている店主の人柄が良いです。私は好きですね。 また、作られるお夜食も、真似したくなるくらい簡単に作られるものが多くて勉強になります。 読み終わる頃には、簡単でも良いので、義務感ではなくて食べてくれる相手を思って楽しく料理をしたいな~と思いました。 来年の春に続巻が出るようなので楽しみです。
電車遅延して、本もってなくて買った本。 こんなにあたたかい気持ちになるとはおもわなかった。 「手作りで、できたてのあたたかい料理だけが人を救うわけじゃない。そのとき、その人によっていちばん必要な食べ物こそが人を救う」 この表現が、料理できなくても冷凍とかお菓子でも いいんだって思える。 人のため...続きを読むにつくるごはんってどうしてこんなにあったかいんだろう‥ 自分のためにつくるごはんもあったかく思えたらいいな。
読み終わったと言うより 聴き終わった。 オーディブルで聴きました。 色んな家庭の色んな状況。 人から見ると良さそうでも 本人にとっては苦しいこと。 隣の芝は青く見えるに近いのかな。 家族でもやっぱりお互い気持ちは伝えないと 伝わらない。 食を通じて色んな物語が広がっている そんなお話しです。
食に対してそれぞれの悩みを持つひとたちが、食べることで一歩踏み出す物語。 料理に対する悩みへの答えが、人生の悩みに背中を押してくれる言葉にも感じて何度かはっとされられた。 疲れたときはこの本をひらいて、何度でもお夜食処あさひへ行こうと思います!
商店街に佇む夜食専門店の「お夜食処あさひ」 ここに吸い込まれるのは、食にまつわる様々な悩みを抱える人々。 「食べたくない」「食べちゃだめ」「食べてみたい」「食べられない」「食べてほしい」 食べることに様々な想いを抱え、悲しみや寂しさを抱えて寒く固まった心に、お夜食処で作られた心のこもった一皿が深...続きを読むく染み入る。 食べることは生きることにつながるからこそ、そして自分の心も食べたい食べたくないという気持ちと結びつくからこそ、食に対して様々な悩みを抱える人が多くいる。 そんな中、自分のために考えられた温かいごはんを食べることで、止まっていた時が動き出す。そして一歩踏み出すことで、闇に染まった夜から温かみのある灯火が灯り、前を進む活力を得られる。そして自分の進みたい道へと足を踏み出していくのだ。 あたたかな未来へ進む、希望あふれる小説だった。
私が大好きな作家さんの一人、汐見夏衛さんの作品。 料理の描写が読んでるだけなのに凄く美味しそうで私もついついお腹がすいてしまいそうになりました(笑) 「食」にも、食べたくない、食べちゃだめ、食べてみたい、食べられない、食べてほしいと色々ありその度に出てくる料理と朝日さんの言葉にホッコリしました。...続きを読む 暖かい作品です。良かったらみなさんも。
読み始めてすぐに読みやすい文章というのが真っ先に感じました。そして情景も伝わりやすいです。 各章でそれぞれの登場人物の物語が展開されるという構成でどの話も良いのですが、個人的には第二章の話が好きです。食べ物を扱う場面でのザワザワ感から心の辛さを打ち明ける場面に思わず頑張ったねと思ってしまいます。 ...続きを読む 私も料理が好きなので料理の参考になる内容があるのも嬉しいところでした。続編も出るとのことで楽しみです。
お母さんに失望されたくなくて頑張る勉強。高める成績。テストの点数。体型で嫌われたくなくて我慢する食事。人との会話。自分の心を殺すせいで上手くいかない人生。自分と重なることが多くてすごくグッときた。辛い時いつも救ってくれるのは自分を想って作ってくれたおばあちゃんやお母さんの優しいごはんだったなって思っ...続きを読むた。
泣いた。 ジブリの猫の恩返しのような、繁華街にひっそりと佇む一食100円の夜食食堂には、今夜も「呼ばれた」人たちが温かい優しさに包み込まれにやってくる。どれもじんわりと心に沁みるストーリーばかりで涙腺が緩んだ。予想外で嬉しい誤算だ。 ── 食べ物と同じように、悲しみも咀嚼して、反芻して、消化して、...続きを読む吸収しないと自分の中に取り込めない。 あぁ、うまい言い方だなと思う。 たとえ逃げ続けて時間が経ったとしたも、月日は悲しみを癒やしてくれない。噛んで噛んで、少しずつ消化するんだね。たぶんそれが、成長と呼べるもののひとつなのかもしれないな、と思った。 食べることは生きることだとしたら、悲しむことまた、生きることか。嬉しいことは…デザートかな? さよならごはんという妙なタイトルの響きが、読み終わった時にはスッと入ってくるような心地よさだった。 いま見ると表紙の絵までがジブリっぽい。ややダサくもあるが。 思わず周囲にも勧めたくなる一冊。
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さよならごはんを
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汐見夏衛
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青に沈む君にこの光を
明日の世界が君に優しくありますように
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あの星が降る丘で、君とまた出会いたい。
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