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弟はあの病室のあのベッドの上で、完璧に優しかった―― 病に冒された弟と姉との時間を描く表題作、海燕新人文学賞受賞のデビュー作「揚羽蝶が壊れる時」、 第二作品集収録の「冷めない紅茶」「ダイヴィング・プール」。 揺らぐことのない美をたたえ、みずみずしい輝きを放つ秀作群。 作家小川洋子の出現を告げる最初期の四篇に、著者あとがきを新たに加え、カバーデザインをリニューアルした新装版。
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Posted by ブクログ
終始、肉体も心もともに、グロテスクで、生々しくて、不穏で、でも静謐で、美しくて。 筋肉、指先、感情。 何かの始まりさえ、生々しい感情のさざなみに溶け込ませてしまう。 なんだかんだ優しく、時に残酷に、主人公たちの、何かが欠如してしまって、死を、喪失を、心にぽっかり空いた穴を埋めていく。 あとがきまで、...続きを読むこれら四つの短編と同じくらい生々しくて不穏ででも最後には光がさして。 静謐が身体を、読者である私の身体を貫いて、一塊が胸の中に残り、一塊は風になって消えていくような。そんな読後感でした。 なんだろう、この満足感は。それでいて、もっと小川さんの小説に浸っていたいと抱きしめたくなる感情は。 表題作の「完璧な病室」と最後の「ダイヴィング・プール」に既視感があった。なんだか語っていることは似ているようで似てないようで、既視感があると言いつつラストの描写は相反していて。 何年かあけてまた読み返したくなる。 新装版が出るほど愛されるのが納得だ。
デビュー作の「揚羽蝶が壊れる時」を含む、初期の四作品を収録。 「揚羽蝶が壊れる時」の中で、「正常と異常、真実と幻想の境界線なんてあやふやで、誰にも決定できないもの」という文章に、小川作品の原点を見たような気がします。 ものすごく優しい視点で描かれた、グロテスクさと美しさの混じり合った独特な世界を堪...続きを読む能することができました。 四編とも死や喪失感を思わせるような作品なのですが、表題作の「完璧な病室」が特に良かったです。 21歳で亡くなった弟の記憶、安らかな病室、張り詰めた空気。 「完璧」という言葉がとてつもなく哀しく聞こえます。 銀杏の黄色から雪の白へと移ろいゆく季節の中で、息もつけないくらいに静かな美しい世界に身をゆだねることができました。 あとがきもとても素晴らしかったです。
表題作他、「揚羽蝶が壊れる時」「冷めない紅茶」「ダイヴィング・プール」収録。小川洋子さんが書かれる物語は静寂に満ちている。その中にそっと一匙の残酷さと透明な狂気が含まれていて、不思議な官能性を孕む。小川洋子さんは沢山の作品を書かれていますが、個人的に代表作を選ぶとしたらやはり「完璧な病室」を選びます...続きを読む。短い物語ですが、この作品には小川洋子さんの全てが詰まっているように思います。儚くて清潔で美しく、死の色香を漂わせた、真っ白な花。そんなイメージがあります。
目に見えないものを見て 外から見えようがない物を抱えて生きていく 抱きしめられて、包まれないと慰められないのかしら
4.8 キター!これが見たかったんです小川洋子(・̥-・̥ ) 小川洋子時系列で追ったことなかったけどデビューしたての方がより毒々しくて優しすぎなくて最高
どこまでも綺麗で残酷な短編四篇。 幸福からは程遠い内容なんだけど綺麗だなぁって思いながら読んで…たら唐突なホラーにビビる。
同僚が貸してくれた本です。 これは小川洋子さんの初期の頃の以下4作品を収めたもの。 「完璧な病室」 「揚羽蝶が壊れるとき」 「冷めない紅茶」 「ダイヴィング・プール」 なんとも独特な世界でした、どの4作品も。小川洋子さんは、グロテスクな事象や残酷な心理描写などを、なんとも精巧で均等で美しい文章で...続きを読む表現するなーと思いました。本書の中でもあったような表現をお借りすると、つるりと冷たい陶磁器の美術品のような印象を受けました。 一番好きだったのは「冷めない紅茶」かな・・・。登場人物の関係性を含め、すごく曖昧で不思議な世界で、え、これはどういうことだろ、どうもこうもないのだろうか、と一瞬一生懸命考えましたが、もうこれはこういう世界のお話なんだと思うことにすると一番好きなお話になりました。 一番わからなかったのは「揚羽蝶が壊れるとき」かな~。 「ダイヴィング・プール」は、読んでいて少し苦しかったです。 表題作「完璧な病室」は、好き嫌いでいうと好きな方かな、くらいですが、一番小川洋子さんらしい作品のような気がしました。気がしただけです。 読んでいる間はなんだか、いつもの現実とは違う、一段暗い世界を、ゆっくり歩いているような感覚で、決して明るく楽しい短編集ではないですが、美しい文章に浸りながら小川洋子さんの世界をより知れた気がして、良い読書でした。
「完璧な病室」 無駄なものはなく清潔で安心できる場所。 弟の病室で二人で過ごす時間は静かで、時を刻むほど清らかになっていく。相反していたものは、心の病があった母とのかつての生活。それらを全て包み込んでいくものの温かさが、この小説全体を包み込んでいるように思えた。 ほかに、「揚羽蝶が壊れる時」「冷め...続きを読むない紅茶」「ダイヴィング・プール」 あとがきまで読み終えて、人のすべての奥底までが細やかに描かれた小説が、自分の物のように感じられる読者になりたいと思った。
完璧な病室 小川洋子 『ダイヴィング・プール』 4作の中で印象に残ってる、お気に入り。 小川洋子さんの中で少し稀有な作品に感じた。 大きな括りでいうと青春小説なのだろう。 主人公の表の部分は。所謂、ピュアさ。 心の中に抱えている部分は青春小説では表現する必要のないはず。所謂、ダークさ。 ダー...続きを読むクさとピュアさの対比が興味深い。 対比という構図になっているが、混合されていく。 この感覚を表現されている所が、小川洋子さん流の青春小説なのだろうか。
小川洋子を前にするとどんな自分の文章も気に入らなくて何も書けなくなるな。 読むことができてよかった。新装版を出してくれて本当にありがとうございました……。
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