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Posted by ブクログ
★★★★ 何度も読みたい
本作の中心にはずっと『孤独』があった。悩みを相談できない孤独、近しい人の死、その悲しみを誰とも同等のものとして共有できない孤独。遺族でありながら疑われる崇を中心に、寂しさを抱え続ける登場人物たち。
崇の独白やセリフには、ずっと誰しも関係者のそれぞれに対してペルソナを使い分けているという『自己の細分化』の思想が流れている。それが物語の後半では行動・罪にも拡大され、『原因の細分化』にまで差し掛かっている。心理学が発達した現代では、行動は全てが生育環境と遺伝に帰属し、罪は「不健康」の結果であると考えられてしまう。それに納得してしまう崇の姿勢は日本の法制度への『理想的』な態度であるのだろうが、聞き分けが良すぎるし、それが故に彼は誰も責めることも、弟を失っても正常に回りだす不可避で不可逆な事象に対して、加害者の親である志保子が醜く生きてすがろうとしていたのに対比するように死を選んでしまうのだろう。彼の自殺願望は良介の死後急に顕現したものではないが、彼は彼以外に責める対象が見つからなかったという側面こそ最後に背中を押したのだと思う。
作中である時崇に送られる動画、その中で、素直に自分の複雑な感情を近しい人々に共有できないながらも、兄への尊敬も、妻子への愛情も本物として持っていて、それ故に殺された良介のシーンには悲しくも熱くなった。崇の視点に立ったら犯人よりも自分を許せなくなるだろうことは分かるのだが、それでも一読者としては、良介に「お疲れさま。頑張ったね。かっこよかった」と無責任に声をかけたくなる。
最後に、上巻の感想でも触れたが、北崎友哉の顛末に関してだ。彼はいじめっ子に手を下す度胸も無く、結局片思いをしていた女の子を殺して逮捕される。過保護でいつまでも息子が犯罪者であることを受け入れずに被害者面をする母親が、最後まで、遺族でない第三者によって許されない様には正直すっとした。
あとがきにて、自分の口で語られるはずの言葉が他人からぶつけられる不気味さが描かれていたのではという示唆に、そうした側面もあったのかと気付かされた。
Posted by ブクログ
非常に陰惨。殺人描写だけではなくて、犯罪被害者や加害者家族を取り巻く状況が全てグロテスクに感じた。
著者は本当に現代の日本社会のありようを、ものすごくシビアにみていて、その通りに写し込んである。
読むのが辛くなるような展開なうえに救いがない。
崇を誰も救えない、その状況がまた居た堪れない。
特にリアルに感じたのは、義理の妹の態度だ。
自分の言葉によって崇を冤罪一歩手前に追い込んだのにも関わらず、自責の念はあまり感じられない。
他に犯人が見つかっても、心の中ではまだどこかで疑っているようで、子どもが抱き抱えられたとき、明らかに触ってほしくない、と思っているように描写されていた。
一度疑われてしまうと、その汚点は、消しても消しても薄い染みが残り、みんなその目で見る。
本人に咎がなくても、一度汚物として扱われたら、元のようにはけして扱ってくれない。現実社会もきっとそうだし、似たようなことはあらゆることで起こっている。本当にゾッとした。
Posted by ブクログ
言葉を重ねると悪魔はどんどん人間臭くなっていったなという印象。結局、最後までどのキャラクターも好きにはなれなかったし、物語の終わり方もモヤッとするものだった。それでも、「あー、こういう正義を振りかざす奴いるよな」とか「こういう境遇なら、こうなっちゃうかもな」とか、感じることは多かった。特に、「なぜ人を殺してはダメなのか」という討論会の内容は興味深かった。ある程度、共通の価値観(認識)を持たなければ、『なぜ?』に回答を示すことは難しい。悪魔の紡ぐ言葉がどうしても自己満足にしか聞こえないのは、私と悪魔の間の価値観(認識)が乖離しすぎているからだと思う。だから、悪魔が発する言葉は自己を満たすだけの、人間臭いものに聞こえてしまう。
Posted by ブクログ
面白くて…というわけではなく、先を読まざるを得ない様な感じで、結局一気読み(^◇^;)
難しいし、よくわからなくて読み飛ばした部分もあるんだけど、妙に共感しちゃう部分もあったり。
あー、芥川賞作家らしいわー、文学だわー、ところでいつ殺されるん?と思いながら読んでたんだけど、いやー、重くて、重くて…。
結末もね、衝撃的でしたわ、確かに。救いが無くて、ドーンと気分が沈んだわのさ…。
まぁ、いろいろ考えさせられる、ってのはあって、普段ボーッと生きてる私でも、たまにはね、という感じで良かったといえば良かったけど、あんまり読みたい作家さんではないな、うん。
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