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第100回オール讀物新人賞を満場一致で受賞した著者が、満を持して送り出す初の作品集。 選考委員の村山由佳氏が”読み終えるなり「参りました」と呟いていた”と選評に記した受賞作「をりをり よみ耽り」の世界を5篇の連作で展開する。 物語の舞台は、文化年間の江戸浅草。女手ひとつで貸本屋を営む〈おせん〉の奮闘を描く。盛りに向かう読本文化の豊饒さは本好きなら時代を超えて魅了されることでしょうし、読本をめぐって身にふりかかる事件の数々に立ち向かう〈おせん〉の捕物帖もスリルに富んでいます。
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Posted by ブクログ
これはいいものを読んだ。五編からなる天涯孤独の江戸の貸本屋おせんが、本を愛する(執着とも?)がゆえに様々な事案に巻き込まれ、また面倒を引き寄せていくことで、物語が展開していく。謎解き要素もあり楽しめるが、何より江戸時代の庶民の暮らしぶり、本や歌舞伎などの娯楽、遊郭、幕政などが垣間見えるさりげない著述...続きを読むが、物語全体をしっかり支えていて、骨太な内容となっている。おせんの江戸っ子な勝気さと、女ひとり生きる不安、関わる人々の人情など、編が進むごとに徐々に盛り上がり、特に第三編から最終第五編まではどんどん読み進めたくなってしまうほど集中できた。続編希望な楽しみな作家さんだ。
幼い頃に両親を失い、一人で貸本屋を営みながら生きるおせん。 彼女の目を通して、この時代に生きる人たちの生活が、今もそこにあるかのように見えてくる。 女一人、必死に逞しく、でも軽やかに生き抜いていく彼女の姿に励まされ勇気付けられる人も少なくないはず。
星4.5 日本歴史時代作家協会賞 オール読物新人賞 デビュー作とは思えない。巻頭の作を、村山由佳が「まいりました」と唸ったというが、うまいなあと思う。 当時の出版事情も色々わかって面白い。
江戸市中で移動図書みたいな仕事をしている主人公おせんが、本にまつわる色々な厄介ごとに首を突っ込む話。 勝ち気なおせんは仕事一筋、本の為なら命を懸ける。小柄な体に本を背負って懸命に商いをする、こだわりと情熱に感服。 江戸の出版業界の勉強にもなる。 幕政批判ととられる書物、卑猥な書物に関わった人間は...続きを読む相当厳しく処罰されていた様で…「本屋と御公儀は水と油」と言われる程。厳しい監視の目をかいくぐって、娯楽を得る江戸庶民の姿も勉強になった。
江戸時代の貸本屋を主人公にした作品。 当時の生活模様が分かったのは面白買ったが、今はあまり使わない漢字が多様されていて、振り仮名をつけて欲しかった。 前回5章だがどの章も、もう1展開あれば良かったなと思う。ある程度先の読める内容だった。
時代小説は、面白いですね。なぜでしょう? 人情があるからでしょうか。 12歳で両親を失ったおせんは、女だてらに貸本屋を営んでいます。幕府の規制で出回らなくなった本などもあり…。貸本屋は、少し裏稼業の面もあるのですね。 そんな貸本屋おせんが、人々の困りごとを解決していく、5篇の短編集。 続きもでき...続きを読むそうですが、どうかしら?
艶話っぽさをちょいと絡めた、貸本屋おせんの行商活劇だ。各話ともに本や錦絵をめぐる事件帖で、毎度からくりを解かんとおせんが勝気に挑む。再三危うい目に会っては幼馴染の登に救われる。世話になってんだから、存分に口すいくらいさせてやんなよ。ともあれ、江戸期の貸本事情が伝わってくる。当時の人には読書好きが多く...続きを読む、実際に貸本業は盛況だったとか。版元であり流通革命の父・蔦屋重三郎も紹介される。庶民が読みたいのは御公儀が取締まる洒落本や黄表紙。そりゃそうだ。おせんには父親平治の無念晴らしで、もっと悪女ぶりを発揮してほしい。
文化期の江戸・浅草は福井町、千太郎長屋に住む貸本「梅鉢屋」の"おせん"が、様々な事件に巻き込まれながらも一歩も退かず生きて行く物語。当時の「本屋」に対して、幕府の"目"が厳しかったことに、とても意外な印象を持った。
3.5 江戸の貸本屋の話し。当時の出版業や製本業のなりわいや庶民の暮らしが判りつつミステリーの色合いも。あまり期待してなかったけど思いの外楽しめました。
著者は男性なのか?文章を読んで最初思った。 それぐらい描写が力強さなどが印象的だった。 難しい漢字や場所の名前などで、辞書や地図を見ながら読んだのは久しぶりだった。 当時の閉塞感や北斎や蔦重の話は最近映画やドラマによく出てくるので、 興味深かった。 作品、板木、製本、貸本。当時の本屋さんのビジネスが...続きを読む非常に興味深かった。
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