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「あの子さ、やっぱりお金目当てかな」まだ肌寒い春の日、清掃会社の2代目社長・友之と、同じ会社で契約社員として働く早紀の結婚式が始まった。18歳差のカップルを揶揄する声を耳にしつつ、栄子は披露宴の祝辞に臨む。今日初めて会った新婦の〈友人代表〉として――。列席した新郎の旧友、新婦の従姉、そして主役の二人も、人には言えない秘密を抱えていた。誰かの幸せを祈りたくなる6編!(解説・一木けい)
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Posted by ブクログ
とにかく面白くて一気に読んでしまった。 中江有里さん凄いと思いました。アイドルデビュー当時の印象が強かったけれど、彼女は正真正銘の小説家だと感じました。
周りがどんどん結婚していく中で、自分の結婚について嫌でも考えさせられるようになり、その度にやるせなくなるこの頃。 結婚願望があるかと言われればあるし、ないと言われればない。「するか、しないか、するならいつか。」そんなことを呪文のように唱えていた頃に届いた、友人からの結婚式の招待状。 「幸せな人たちが...続きを読む集まる場に行ったって、自分の惨めさを実感するだけだ」と、欠席にしようかとも思ってた時にふと出会った一冊。 結婚式の参列者には、それぞれの過去があり、未来がある。 結婚することがゴールでもなければ、結婚がその先の絶対的な永久の幸せを保証するものでもないし、早いことが勝ちなわけでもない。 でも、少なからず新しい門出のその瞬間は、周囲に祝われて然るべきなのかもしれない。 そう思うと結婚を、結婚式を祝ってあげたい気がしてきた。
残っている独身者の「福」ではなく、その人が生きてきた「過去」にスポットライトを当てる。ただし、主人公が見た目も中身も「福」をイメージさせるキャラクターになっており、作者の遊び心を感じさせる。中身が「福」なのは、良い意味であり、男前だということ。 読者の皆様は、この小説を読んだ後に、自分の人生に関わ...続きを読むった人達を思い出すことになると思う。 初対面にも関わらず、生きるヒントを授けてくれた人もいる。そこまで親しく無いのに自分のことを感謝してくれた人もいる。一方で、自分がひどい事を言ってしまい、気持ちがすれ違ったまま別れた人もいる。 「自分を浄化するために、人の幸せを祈る」 という言葉が最も印象深い。親しい人にも、疎遠になってしまった人にも、図らず傷つけてしまった人に対しても、ふと思い出して、無条件で幸せを祈ってあげたい。
誰にでもその人だけの過去があり現在があり人生があるけれど、他人にはそれがわからない。 わからないのに想像するらすることもなく自分だけの常識で他人を見てしまう。 なんで私だけ、どうしてわかってくれないのと感じたときに、読みたい本。
一つ一つの話がなんとも言えない余韻の残る短編集でした。 辛いことも楽しいことも色々あっての現在。その人生の総括の場だから結婚式や式場にはいつも物語が溢れているのだなと思った。 それぞれの主人公たちに幸あれと祈りたい。
新郎の友之は47歳の清掃会社社長、カバを連想させる体躯、デブで汗かきと、女性からは魅力を感じる要素には少々欠けるが、親思い、兄弟思い、正義感に長けて優しい誠実な人柄が取り柄。新婦の早紀は29歳の細面で凛々しく、周りの人達の視線を一身に集める美人だが、大学生の時に両親を交通事故で亡くし、大学を中退した...続きを読む後も苦労の人生を歩んできた。披露宴に出席した人達の過去が短編に綴られ、新郎新婦との繋がりが明らかになる。最終章で、新郎の友之が語る感謝のスピーチに、読者の鼻の奥をツーンとさせる言葉が印象的だ。
さらっと読めるオムニバスと思いきや、なかなか読み応えがあって、数日に分けて読みました。 1つの結婚式にこんなに物語があるなんて。
結婚披露宴の中の短編連作。 女優としての中江有里さんは知ってたけど、著書は初めてだったから新鮮でありました。
独立した短編集、披露宴がよく出てくると思って読んでいたら、全部つながっていました。 一つ一つ独立して読んでも面白く読め、最近こういう本を読んでいなかったので新鮮でした。 人の感情もよく書かれていたと思います。 私にとって女優のイメージのままでしたが、知名度で本を書いているわけではないとわかった...続きを読むので、他の作品も少しずつ読みたいと思います。
ある披露宴から始まる、様々な人の過去から現在。 そして、それが少しずつ新郎新婦に繋がっていく。 登場人物全員が本当に幸せになって欲しい。と思える小説でした。
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