幸福経済学、幸福心理学といったジャンルの本。
経済学には選好理論というものはあるが、幸福度を絶対的に表現することは人類の永遠の課題。
この本では、幸福度やその推移、分布と要因などを分析して計算式を導こうという本。
お金があった方が幸せというのはある一定の水準までは確かだが、相対的な面があり、高収
...続きを読む入のグループに所属し本人も世間的には高収入だとしても、同僚と比べて低かったら幸福度は小さくなる。
また、結婚や子どもができることは幸せをもたらす大きな要因と考えられているが、実はその幸せは長続きしない。結婚してる人が幸福というのは結婚前の1年間くらいで幸福度がかなり上がるからであり、それは徐々に下がっていく。
大事に人を失うことの悲しみは非常に大きなものだが、それによる不幸というのは案外あっさり数年で癒えてしまう。だから、幸福経済学者を葬儀に呼ぶべきではない「すぐに忘れますよ」と言ってしまうから、というのは笑った。
人にはプラスなことを得るよりも、マイナスを避けるということの方がインパクトがある。「健診を受けたら乳がんが早期発見できますよ」よりも「健診を受けないと乳がんの進行に気づかず手遅れになりますよ」。
幸福のウイルス(幸せは周りに伝播する。幸せな人と付き合おう。関係的な距離より物理的な距離が重要。但し、会社の同僚は別。)だったり、幸福の国ブータンの国王が独裁国家なのを活かし、経済発展よりも彼が捉える幸福の追求を推進してきた結果、今のブータンが生まれたこと。ただ、ブータンを見習おうと思ってやってきてるエリートたちは、今の経済的に裕福な暮らしを捨ててこれをやるかっていうのは疑問、というところも面白いエピソードだった。
幸せだと思われてることはさほど幸せではなく、不幸なことも長続きしない。中庸でいよう。と思った。