この、ゾッとするほど面白くて、人間の救いようのない愚かさ、弱さ、脆さ、悪魔すら舌を巻く強かさ、小狡さ、機転の利かせ方を浮き彫りにしているストーリーは気が病みそうになる一方で、中毒にもなりそう
キャラがつくづく、強烈ってのも、この漫画がコアなファンを得る理由だろう
私の好きなキャラは、この巻にも登場し
...続きを読む、なおかつ、存在感を際立たせている伊丹くんなのだが、理屈なく嫌いと言えるのに、彼以上に強い印象があるのはメフィストフェレス
彼は善でもなけりゃ、悪でもない。とことん、根本的に、本質からして最低だ
人間や悪魔が持っている『悪性』でなく、腐った膿み、捩れた歪み、こびりついた穢れを濃縮還元したような、存在そのものが異質で異常、そして、異物
”幸せになっちゃう”前の球磨川禊より性質が悪い
外道、下種、狂人、そう喉が潰れるまで罵倒しても、彼の腐れっぷりは言い尽せないだろう
ある意味、この『バベルヘイムの商人』の中で、人気はないが、記憶にいやでも残るキャラと言える
この手の漫画には、コイツのようなクソ野郎が、絶対的に必要と知っている古海先生は、凄い漫画家だな、そう、しみじみと思う
人は人でいるべきであり、悪魔も悪魔であるべきだ。その境界線を越える事はどちらにも簡単に出来るが、やっちゃならないんだろう。きっと、世の中のそこらかしこに、そんな多くのラインが引かれているに違いない。越えるならば、死より辛い苦しみを負う覚悟と、領域を侵した者としての行動を全うする責任を担わねばならないのか?