この本は筆者初のフォトエッセイだそうです。東北・東に本題震災が残して言った悲惨な爪あとと、それでもまた希望を持って生きていこうとする人たち、特に子供たちの姿が写真や作文、習字を通して伝わってきます。
東北・関東大震災。その爪あとがいまだに生々しく残る現地を医師であり作家の鎌田實氏が佐藤真紀氏ととも
...続きを読むに写真とエッセイでつづるフォトエッセイです。
最初にこの本をめくると、焼け爛れてしまった車の残骸や、地震のあった時刻を指したままと待っている打ち捨てられた時計。瓦礫が延々と続くかつて住宅街だった場所が写し出されていたりと、改めて今回の震災の恐ろしさが伝わる写真とともに、それでも、希望を持って生きていこうという筆者の強いメッセージが短い言葉とともに添えられていて、彼らの前途が多難であるということを現地で生活している方々、特に子供たちのことを津波をかぶってにじんでしまった「希望」という習字で書かれた文字の中に見出してしまい、復興には何年、何十年とかかるだろうな…。それでも生きている限りは前に進んでいかなくてはならないんだ、という決意のようなものを感じていました。
後半の第Ⅱ部「支援、命、希望について」と題されたエッセイには今回の震災に対する筆者の考察がつづられていて、「希望を創り出そう」という箇所にある、フロイトの「人間が困難に立ち向かう時に必要なことは、働く場所があることと、愛する人がいることだ」という言葉を紹介しつつ、被災した人たちが自発的、能動的、活動的になることができれば、その先に希望を見出すことができるのではということをといております。
Ⅲ部の「イラクからの命のメッセージ」では今も困難な道のりが続くイラクから、困難な状況に身をおきながらも、それでも生きていこうとする人間、特に子供たちの笑顔に心を打たれました。今後、3・11後の世界に生きていかなければならない人間の一人として、この本に出逢えたのはいろいろな意味でよかったのだと思っています…。