残念ながら(?)やらなければいけないことを先延ばしにすることを正当化してくれるような本ではなかった。
原題は”The art and science of delay" とあるように、直感的な判断に従うことの危険性を論じたもの。プロの手にスプレイヤーでは数ミリ秒の余裕を持てるだけでパフォーマンスが
...続きを読む劇的に改善するし、マシュマロ・テストのように先延ばしの能力の重要性を物語っているものもある。
私達の判断の多くはプライミングのように瞬間的な思考(カーネマンのファスト&スロウでいうType1)によって決められており、それはだいたい正しいのだが、少し取り掛かるのを待って熟考したほうがよいこともある。ToDoリストは戦略的に先延ばしするものと、すぐ処理するものの2つに分けたほうがよいのだ。
ポピュラー・サイエンス本のお手本のような書きぶりで、アカロフとスティグリッツの箱の話やシン・スライシングなど、興味深いエピソードをたくさん挙げつつ脳科学の結果も引用するなどスタンダードな構成で読みやすい。