児童文学作家として有名で、本は必読書のように、どのブックリストでも目にはしていたエイキンの「しずくの首飾り」
一度手に取ったものの、読まなくてはーという義務感から以前は楽しめず読み切れずじまい。
今回、語りで「しずくの首飾り」を聞く機会があり、その色彩豊かで楽しい世界に魅了され、文庫版も出たとい
...続きを読むうことで手に取ると、不思議で日常から解放される楽しさを味わうことができた。
昔話のような繰り返しがあり、ストーリーはシンプルだけど、一粒増えるたびに水を操る力が増えるしずくの首飾りや、空のかけらを一緒に練り込んだ空飛ぶパイ、イースト入りのミルクを飲んで大きくなったネコ、卵から生まれた一本足の家…想像が膨らむものが登場し、読み終わったあとは楽しい世界に行って返ってきた満足感がある。
とりわけしずくの首飾りは雨つぶがぶら下がるキラキラした首飾りやアラビアのお姫様がもらう美しい贈り物(歌を歌う花、クモの糸でおった銀の服、桃色の貝殻でできたボート)など想像するのが楽しかった。小学1年生も聞いてくれた。
文庫版には歌人の東直子さんのあとがきがあり、優しくて素敵だった。
「物語が展開していくときのその情景描写、そしてイメージの美しさ、楽しさに、圧倒される。」
「辛い現実からふと頭を上げて、空にむかって鼻歌をうたうと、心が楽になることがある。そんなふうに、心をふっと別の世界に誘い、和ませてくれる、音楽のようなファンタジーなのだと思う。」
という文章がぴたりと私に響いた。
こんなにも自由な世界があることを忘れたくないと思う一冊。昔の作品だけど、全く古びれない世界。