外科手術、放射線治療、化学療法、がん免疫療法に次ぐ、第5のがん治療法となる光免疫療法と、その開発者である小林久隆博士を紹介した本。
学術入門書というよりはよくあるプロジェクト紹介のビジネス書に構成は近く、スポンサーとなった三木谷楽天会長との出会いや、小林博士自身の生い立ちにかなりの分量が割かれてい
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光免疫療法とは、がん細胞特有のたんぱく質(抗原/腫瘍マーカー)に結合する物質(抗体)と、近赤外線を照射したときに切断・変形するIR700という人工色素を使い、抗体とIR700を結合させたものをがん細胞と結合させ、近赤外線照射によりIR700が切断・変形する際にがん細胞の細胞膜、ひいては細胞そのものを破壊するというもの。
さらに、がん細胞が破壊される際にがん細胞の抗原情報が周囲に伝達されることにより、がん細胞に対する免疫機能が顕著に活性化し、残ったがん細胞も破壊されるという2段構えの機構となっている。
抗体を工夫すれば、9割程度のがん治療に有効だという。
患者の人体への侵食が少なく(なく?)、がん細胞破壊の効果が大きいという理想的な治療法で、今後の発展が期待される。