《ポイント》
·共同通信社の記者2名がおこなったインタビューを通して書き上げたノンフィクション。
·現代日本社会における子どもの貧困について、高校生、中学生、小学生、保育園児へのルポ4章構成となっている。
·子供の貧困は表面上に現れにくいため、社会がアプローチしにくい。
·20年後、今の子
...続きを読むどもが親になったとき、次の世代の子どもたちの貧困は更にひどいものになるだろう。
《感想》
このルポが書かれたとき(2011~12年)日本では、親の経済力の格差のために、6人に1人の子どもが貧困状態だった。
両親に経済力が無いと、親の貧困が子供に否応なく引き継がれる。
だから、貧困連鎖というわけだ。
子どもの貧困は見えづらい、ということがとても重要なポイントだけれど、実際高校生にでもなればスマホは持っている子がほとんどだ。
そんなの貧困じゃない、と思う人もたくさんいると思う。
そう、明日をぎりぎり生きるお金はある。
しかし、逆に言えばぎりぎりしかないから、何か不確定要素が身に降りかかったときー例えば、災害や身内の病気、親の失業などー、一瞬にして未来を生きる経済力はなくなる。
そうなると、子どもは大学進学などの将来の選択肢は一気に狭くなり、相対的貧困から脱することは絶望的になっていく。
そんな非常に危険な綱渡りを毎日続けるような生き方、それこそが現代の日本の貧困なのだ。
この危機的状況を良くするには、どうすればいいのか。
筆者はもっとお節介を増やさないといけないと、最後に述べる。
現日本政府は教育・福祉にあまりお金をおとさない(これはとても大きな大きな問題で、もっと国民が主張しなければならないと思う)のだから、民間の活動から変えてくしかない。
学校教育であったり、NPOであったり、地域の大人たちであったり、あるいは企業がビジネスとして、多角的に多層的に手を取り合い、皆で解決に挑んでいかなければならないのだと思う。