ありがちな法学入門の本とは全く異なる、まさに「新しい法学入門」。もっと早くこの本と出会いたかった!
各国の法学の特徴や法学史といった、法学を学ぶ上で知っておきたい事柄が広く押さえられている一冊。
ただそれにも増して個人的に嬉しかったのは、法学を「社会工学」と呼び、人類学や社会学、心理学、言語学など
...続きを読むの諸分野と隣接した文化の一部とする著者の捉え方だった。
実定法の解釈が殆どを占める法律学習において、(歴史的にもそのきらいはあったようだが)法学徒はとかくタコツボ型の法律観に陥りやすい。
その中にあって臆することなく経験科学に目を向け、教養溢れるたとえや注釈を多用する著者の姿勢は、ともすれば内容以上に希望に満ち満ちたものに、私には思えた。
初学者だけでなく、条文に溺れて法学の奥深さを見失いかけている学部生にもお勧めしたい一冊。