作品一覧
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4.0
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
ネタバレ書体(フォント)という観点から作品を語るコラム。
文字を読むときは、書体のイメージも含めて読んでいる、ということを再認識できて、とても面白かった(これは私たちは普段から無意識で行っていることだが、人間の認知能力というのは本当に底知れない)。
書体になじめなくて読めない本があったというエピソードや、説明されても書体の細かな違いが私にはわからなかったりと、著者の書体に対する感覚の鋭さや表現の豊かさに驚きすら感じた。出版社に勤務されていたからこんなに詳しいんだな、と納得しかけたが、こどもの頃から感覚的に書体の違いを味わっていたようで恐れ入る。
「芥川賞受賞作品」とか「夏の文庫フェアの1冊」とか、自分 -
Posted by ブクログ
平成とは、書体の主戦場が写植からDTPへと移行する文字にとって激動の時代だった。CDのジャケットや歌詞カード、マンガ、雑誌などのフォントに着目し、独自の切り口で平成を捉えるポップカルチャー論。
軽い感じの本だけどかなり面白かった。いまは使われなくなってしまった書体の話はもちろんのこと、写植で人気だった新しい書体といち早くDTP対応した古い書体の入り混じる平成初期らしさだとか、テキストの書体を変えて客が離れた雑誌だとか、椎名林檎の歌詞カード書体の擬古典主義だとか、デザインの分野で語られることはありそうだけど書体の分析だけでここまで"読んで"しまうのはすごい。
一番面白いの -
Posted by ブクログ
実家に放置している自分の本棚を整理してくれ、と言われ、いま手に入れることの出来ない文庫を粗よりしながらパラパラ捲ると,漂ってくる時代の雰囲気、それは古本の紙質の匂いだけではなくて、使われている活字の書体からも感じます。そもそも文庫毎の活字の違いも、それぞれの文庫の作品の選ばれ方の傾向にマッチしている気分も思い出しました。新潮文庫らしさ、角川文庫らしさ、今は亡き旺文社文庫らしさ…。そんな古い話でなくても書体を巡る冒険は、続いているのです。小沢健二とスチャダラパー「今夜はブギー・バック」のシングルのデザイン、歌詞のフォントチョイスから始まる文字の記憶の物語。その曲が1994年なのでかれこれ30年の