・工場の生産工程を思い浮かべる。
Aさんはボトルネックである。1時間に生産できるのは最大10個が限界。
Bさんは非ボトルネックである。1時間に20個生産できる。
生産工程がBさんの工程(20個/時間)→Aさんの工程(10個)→最終製品
の順になっている場合、Bさんは1時間に何個加工したらいいでしょう
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これは、感覚的には10個なのだがBさんが10個しか生産しない場合、Bさんは能率が50%ということになってしまう・・
①優れたコストパフォーマンスを実現するには、優れたローカルパフォーマンスを図るしかない
②ローカルパフォーマンスが優れていても、優れたスループットは実現できない
どちらの仮定が間違っているのか?
②の仮定が間違っている。Bさんが20個生産した場合は、10個が在庫となる。そして
在庫にはコストがかかるのだ。
・ある鉄鋼会社では「時間当たりの生産トン数が生産性の指標だとする。どうなるか。顧客の注文がないものも生産して、「時間当たりの生産トン数」を向上させようとし始めるのだ。
・建物の高さを測るとする。ある方法を用いれば10ヤードであり、ある方法だと20ヤード。
じゃあ、お互いに妥協して15ヤードにしましょうとなるか。ならないだろう。どちらかが間違って
いるのだ。(刑事事件と民事事件の関係に同じ)
サイエンスの世界ではコンフリクトした場合は、妥協を全く許さない。
・クリティカルパスとは「従属関係にあるステップを繋いだパス、つまり経路で、一番長いと定義される。もちろん時間で」」
・全てのパスをぎりぎりまで待ってスタートすれば、全てがクリティカルパスになってしまう・・
・コストワールドとスループットワールド。
①コストワールドとは個別最適。例えば、個々の部署が鎖で繋がっているとする。営業部、経理部、総務部、生産部。一つの鎖(例えば営業部にしよう)の重さ(経費にしようか)を節約すれば全体の重さ(経費)も少なくなる。
②スループットワールドは全体最適。鎖は繋ぎ目を全部外したらバラバラになった輪が残るだけ。でも重さは変わらない。鎖をつなぎ合わせることで、鎖の強度が決まる。では何によって鎖の強度が決まるか。一番繋がりが弱い輪(すなわちボトルネット)だ。鎖の強度を改善する場合は、この一番繋がりが弱い輪を強くすればいい。仮に他の輪の強度を強くしても全くの無意味である。
・コストワールドとスループットワールドは合い入れない。でもやり方ある。
①制約条件を見つける
②制約条件を徹底活用する(キャパ追加、又は既存のキャパからアウトプットを最大限引き出す)
③他の全てを制約条件に従属させる
この繰り返し。
・余裕時間は積み増しされる
(ぎりぎりの時間は見積もらない。
-50%の確率で完了するタスクの工数が1MM
-80%の確率で完了するタスクの工数が2MM
の場合、ほとんどの人間が後者を選択する。つまりリスクバッファは200%だ。
・浮いた時間は無駄に消費される。
(早く終わっても報告しない。時間もその時間でできると思われたら
最悪だ)
・学生症候群(期限までに時間的な余裕があればぎりぎりまで着手しない)
・マルチタスクの弊害
<例>
優先順位がない場合は、
直列:A工程(2日)→B工程(2日)→C工程(2日)
並列:A工程(1日)→B工程(1日)→C工程(1日)→A工程(1日)→B工程(1日)→C工程(1日)
となり、A工程が完了する期間は2日→4日と2倍になる。
・解決策としては
①作業毎に期限設定をしない。期間のみを提示する。作業が回ってきたらすぐに着手して進捗をこまめに報告し、完了すればすぐに報告する。
②余裕時間は必要なところに集中する。個々の作業にバッファーを組み込むのではなく、プロジェクト全体のバッファーとして集中管理する。
③資源の競合は計画段階で解消する。クリティカルチェーンを見つけること
④不確実性(ばらつき)を織り込む
個々の見積精度を高めるよりも、確率分布のばらつきとしてとらえる。
・3つのバッファー
①プロジェクトバッファー
②合流バッファー
③ボトルネックバッファー(ボトルネックの前におく。行進する先頭の兵隊とボトルネックを繋ぐ。他も繋ぐと在庫が積みあがる)
・ガントチャートには意思がある。どの作業をどのタイミングから開始するかはマネージャの意思だ。
・Win-Winの関係にならないのは、まだ一部だけしか見えていないから。全体を見えれば必ずWin-Winの関係が見つかる。