超推し★5 閉鎖的、抑圧、混乱、暗闇… おどろきと重い体験ができる名作 #ニードレス通りの果ての家
■あらすじ
アメリカの田舎町、ニードレス通りの果てに一軒の家があった。そこにはテッドが娘ローレンや猫と住んでいた。
テッドはかつて近くの湖で発生した少女失踪事件の容疑をかけられてしまったこともある、
...続きを読む訝しげな人物。その後嫌疑は晴れるも、失踪してしまった少女の姉ディーは未だに彼を怪しんでいた。
ディーはテッドの隣に引越し、彼の様子を伺うのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
めちゃくちゃ面白い!★5
それなりに読む力が求められますので、時間をしっかりとって、よい環境で読むことをおすすめします。
本書を読み進めるとまず思うこと。
私はいったい何を読まされているんだ…
テッドなど登場キャラクターによって各章第三者視点で物語が語られていくのですが、随所にみられる不可解なセリフや言動が良く分からない。話の筋や展開もそれなりに理解できるが、どうなっていくのかがさっぱりわからない。ただ閉鎖的で陰鬱とした世界観で、何もかもが抑圧された雰囲気なのは伝わってくる。
そして登場キャラクターたちの意思も、無秩序かつ、乱暴で排他的なんです。何処まで読んでも救いがどこにも見えずに真っ暗で、不安要素のオンパレード。
特に私が痺れたのは、死に対する描写です。生命としての追い込まれてしまうほどリアルさで戦慄が止まらない。
本書一部引用 P293:
真っ暗で海の底に沈んでいくような感じだ。暗い土の中をどこまでも下りていきながら… お願い、早く終わりにして。
なにこれ怖いんですけど! なんなの、この話!
なにより未来が見えないのが怖いっ
ところが、ある地点を過ぎると徐々に真相が見え始めてきます。
果たして失踪事件の真相は明るみになるのか、そしてこの物語にはどんな背景があるのか…
おそらくは皆さんが想像していた以上の展開が待ち受けています。
読者に訴えかけてくる衝撃度では、今年一番かもしれません。
しかも細部も丁寧に書かれており納得性も高い。
そして最後まで読者を裏切らない。怖いけど、控えめに言って名作でした。
おまけ:
あまりに怖い怖いと書きすぎてしまったので、超ステキな装画についても一言。黒猫が鬼のように睨んでるんですが、猫好きとしてはめっちゃ可愛くてたまらない。ナデナデしたくなりました!
■絶賛!推しポイント
読んだ方は分かると思いますが、あるテーマが本書の軸となっています。
今まで話で聞いたことはあっても、理解や経験ができなかったことを、なんと本書は実体験をさせてくれるのです。
本を読むことで、こんなにも重みのある体験をするのは初めてでした。
人間の行動がどんな悲劇をもたらす可能性があるか… 人生勉強をさせていただきました。