中公新書で読もうと思ったときには品切れになってしまい、今般学芸文庫入りしてやっと入手できたことが、まずもって嬉しい。
セポイの反乱という言い方は古いらしい。インド人兵士=シパーヒーによる蜂起で始まったインド大反乱。始まった年代と、イギリスの直接統治になったことくらいしか記憶に残っていなかったの
...続きを読むで、本書を読んで、この反乱の全体像がだいぶイメージできるようになった。
反乱軍がムガール帝国皇帝を担ぎ出したが、その皇帝自身も一族で指揮官として担がれた者たちも実際の役には立たず、また反乱側も一枚岩ではなかったため統一的な行動が取れず、それが結局はイギリスの反攻を許してしまう結果になったことなど、初めて知ることが多く、とても興味深く読めた。
特に第3章「反乱と農村社会」は、農村地域の社会構成を通して反乱との関係を分析している。あまりページも割かれていないので、初学者にとっては理解が難しいが、なるほどと頷かされる。
第4章は、デリーでの反乱が鎮圧されても、1859年1月まで各地で反乱が続いており(初めて聞く名前ばかりだったが)、王妃を含め活躍した人物を紹介しながら叙述が進む。
インドと言っても、宗教やカースト等の身分制度、反乱の中心となった階層等実に多様であり、それらを反映して反乱の様相も異なるようだが、それらを著者は手際良くコンパクトに纏めてくれている。