作品一覧 2023/11/22更新 偶然性・アイロニー・連帯 リベラル・ユートピアの可能性 試し読み フォロー はじめての政治哲学 試し読み フォロー 1~2件目 / 2件<<<1・・・・・・・・・>>> 山岡龍一の作品をすべて見る
ユーザーレビュー はじめての政治哲学 デイヴィッド・ミラー / 山岡龍一 / 森達也 2005年に発売された「一冊でわかる」シリーズの『政治哲学』の岩波現代文庫版。 <目次> 第1章「政治哲学はなぜ必要なのか」、第2章「政治的権威」、第3章「デモクラシー」、第4章「自由と統治の限界」、第5章「正義」、第6章「フェミニズムと多文化主義」、第7章「ネイション、国家、グローバルな正義」、解...続きを読む説「政治哲学はどのようなものとなりうるのか」、岩波現代文庫版あとがき <レヴュー> 訳書の体裁は2005年版とほぼ変わらないが、文庫版では紙幅の都合で図版をカットしたとのことで、特にロレンツェッティの寓意画がないのは少々もったいない気がする。とはいえ代わりに参考文献リストがさらに充実したものとなっている。扱っているトピックは多くの政治理論の概説書と共通しており、政治哲学の存在理由、そもそもなぜ政治的権威≒国家が必要なのか、その統治形態としてのデモクラシーの価値如何、統治の目標あるいは制約原理としての自由や正義、そしてこうした主題を扱う際に前提となる枠組みに挑戦しているとされるフェミニズム、多文化主義、グローバル・ジャスティス論といったものである。ただし類書と比べた際の大きな特徴は、理論家の名前や専門用語の類いが最小限しか登場せず、むしろどのような«考え方»によってそれぞれのトピックにアプローチすればよいのかという部分に焦点を当てるかたちで議論が進むことだろう。その意味で、導入科目のテキストの候補に挙げやすい一冊である。また当然、政治哲学という分野がいったいどういうものなのかをある程度知っている人間にとっても、平易な言葉で進められる論述は非常に魅力的である。もちろんこれは、原著者の努力もさることながら、訳者二人の推敲の賜物でもある。また訳者による解説・文庫版あとがきも政治哲学という分野の近年の動向を簡にして要を得たかたちでまとめてくれており、非常にありがたい。 Posted by ブクログ 偶然性・アイロニー・連帯 リベラル・ユートピアの可能性 リチャード・ローティ / 齋藤純一 / 山岡龍一 / 大川正彦 前作『哲学と自然の鏡』において普遍性を目指す営みとしての哲学を批判的に解体したローティはその批判を突き詰め、表題にもなっている「偶然性」、「アイロニー」、「連帯」をキーにリベラルユートピアの実践の可能性を探索する。 リベラルユートピアに必要なことは アイロニーによる私的な領域と 残酷さへの意識とい...続きを読むう公共的な領域とを並存させることだとローティは説く。 本書では、私的領域を開発していくアイロニストの例としてプルーストやデリダが、 残酷さを描き出すことによって連帯に寄与した例としてナボコフやオーウェルが検討されていく。 わたし個人、特に興味を惹かれたのはアイロニストとしてのプルーストについての言及だ。ローティが使用するアイロニストの意味はやや特殊である。 ローティの言う「アイロニスト」とは普遍性、永遠性、固定的な真理性とは対照的に「偶然性」をもって臨んでいる者のことである。変化することのない絶対的な真理や存在を求めない、いや、そもそもそんな問題にかかずりあわない。自分が関係を持つことになった対象、-それは必然的に偶然性以外のなにものでもないのだがーを歓待する。そんなスタンスを有した者のことだ。 アイロニストは偶然性を受け入れる。偶然性を受け入れるということは要するに、変化を受けれいることであり、それはまた時間性への意識でもある。 プルーストがアイロニストの代表として取り上げられているのはまさにこの点においてなのだ。 『失われた時を求めて』の最終巻のタイトルは「見出された時」だが、主人公は、貴族の没落、成り上がりの者の繁栄、美しき婦人の老衰、政治思潮の激変、憧憬を抱いたものへの失望などなどを目の当たりにし、それら圧倒的な変化としての「時」を再発見する。 このように主人公が時を見出したことによって『失われた時を求めて』の執筆を決意し物語の幕が閉じられるのだ。 整理すると『失われた時を求めて』を執筆したプルーストは、ローティの言う「アイロニスト」になるまでの過程を、アイロニストとしての眼差しで描き直したということになる。 このあえてつくられた位相のずれはプルーストが本来の意味でも「アイロニスト」たることを証立てていると言えるだろう。 Posted by ブクログ はじめての政治哲学 デイヴィッド・ミラー / 山岡龍一 / 森達也 偉い本よね。ツイッタで政治論議する民は1冊もっておいてほしい。「1冊でわかる」シリーズの文庫化だけど、訳文替えたり文献リスト更新したりいろいろしてるそうだ。 Posted by ブクログ 偶然性・アイロニー・連帯 リベラル・ユートピアの可能性 リチャード・ローティ / 齋藤純一 / 山岡龍一 / 大川正彦 なんの因果か、原書は1989年に出版されたもの。 ある意味で、ソシュール学者の丸山圭三郎やフロイト学者の岸田秀と、モチーフを同じくしているところもある。 その意味で世界的な同時代性を彼らの思考に見ることもできよう。 ローティーが突出しているのは、おおむね、丸山や岸田がモティーフの提示を中心にすえたの...続きを読むに対して、そこから広がる世界の可能性を中心的に論じて見せたところにあるように思う。 スリリングで刺激的な一冊 Posted by ブクログ はじめての政治哲学 デイヴィッド・ミラー / 山岡龍一 / 森達也 ハンディだけれども、しっかり読むと、とても重厚。「哲学」を延々と書いてあるわけでもなく、論点をロジカルに紹介してくれており、現在の多数派がどう考えてるか、もなんとなくわかる。巻末の参考書リストは、とても興味を惹く。 Posted by ブクログ 山岡龍一のレビューをもっと見る