# 現代のサイバー文明を多方面から的確に評論した一冊
## 面白かったところ
- 農耕文明、近代工業文明を現代のサイバー文明と比較した上で、昨今の世の中が行き詰まっている理由が目から鱗で面白い
- 何気なく無料で利用している身近なサービスが流行っている理由、がただのレバレッジではなく指数関数的
...続きを読むなネットワーク外部性が効いているという点に合点がいった
- サイバー文明ではどんな人でも追跡可能になるため、適切な報酬体系と権限を設計した上で、アクセス権付与モデルがベースになるという考察に深く納得した
## 微妙だったところ
特になし
## 感想
2023年一発目に手を出した本としては、最高に面白かった。いいスタート。
個人情報をうまく使えているという点では、中国モデルが優れているそうだ。国家というこの上ない管理者が国民の個人情報をシビアに管理し、ときに公共政策に対しては大胆に活用していくモデルである。
社会格差是正の1つの方法として、最優先・第二優先・第三優先と区切ることができるらしく、この考え方が面白いと思った。
LINEを例に出すと、
最優先のユーザーは、ライフラインユーザーある。東日本大震災のような緊急時に、膨大なトラフィックを捌ける必要があるし、行政の手続きもできる。もちろん国からの補助なども受けるだろう。
第二優先のユーザーは、民間で資本を出してでも優遇してほしいユーザーで、例えばスタンプやきせかえ・広告非表示に課金をするような層である。このユーザが出資することでサービスとしての基盤が大きくなる。
第三優先のユーザーは、第二優先のユーザによって整備された設備や余剰に乗っかるユーザーである。我々が何気なくチャットしたり、通話したりできるのは言うまでもない。
最近リリースされたTwitter Blueなんかは専ら第二優先のユーザー向けのサービスだなあと思った。
今後どのようなサービスも大きくこんな感じに区切れるようなサービスがプラットフォーマーになり得るし、官民共に手を取り合って国際競争力を高める1つの手かもしれない。
面白いトピックが多すぎて感想は書ききれないから、色んな人に薦めたい。