わたしにとっては,何冊目かの牧野富太郎の評伝。なかなか面白く読めました。
「富太郎自叙伝」の全てを網羅しようというわけではないので,最初に読む本としては,お薦めしません。はじめて牧野富太郎について知りたい方は『牧野富太郎自叙伝』を読んでみてください。
本書の内容では,わたしは,特に晩年の富太郎
...続きを読むおよび牧野富太郎記念館などの話に興味を持ちました。そして,高知にある記念館や植物園を訪問してみたくなりました。
また,文庫本に寄せた,荒俣宏氏の「解説」も貴重な文章です。牧野富太郎を他の人物から見るという視点は,多くの著作にあたらないと分からないことですからね。南方熊楠との因縁もあったりして,こちらの方も,少し読んでみたくなりました。
自分自身が本気で興味をもてるものを知り,そのことを信じて疑わない者には,誰もが道を譲らなければならない。なぜならそのような人程,真剣に生きている人はいないからである。(本書,215ペ)
いい言葉です。富太郎の周りに起きた様々な抑圧,それを跳ね返して力強く生きていく「植物の精」としての富太郎。変人といえば変人だけど,嫌いにならないですね。