作品一覧
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
こんなにも魔法にかけられた物語に出会ったことはあっただろうか。私的、No.1作品。
奇妙な語りから始まるこの本には、章立てがない。少しでも流し読みをするとよく分からなくなる。だから1文1文を丁寧に。そう、丁寧に追っていたはずなのに、気づいたら、摩訶不思議な世界から、1人の女性の日常にのめり込んでいた。読み終わった瞬間、ふと魔法が解けて、我に返る。漫画に出てきそうなほどの放心状態になっていた。
この物語の主題は、「踏み潰された無垢」、「名もなき悲惨」だと著者のリスペストールは言うが、まさにそうで、究極の貧しさや醜さやその中にある刹那的な美しさに心を奪われていった。貧しく、卑下されていて、明ら -
Posted by ブクログ
ネタバレとらえどころのない小説で、こんな話ですよ、と紹介しずらかった。ただ、マカベーアの物語を単純に不幸でした、で片付けずに、どういう解釈ができるのか考えることが大事だと思った。ロドリーゴ、マカベーア、クラリッセ、いろいろな角度から想像できると思う。
不思議な小説ではあるが、これが作家クラリッセの祈りであり、叫びであると思う。これに触れてみるのも一つの経験としておもしろいと思う。
とらえどころのない小説で、こんな話ですよ、と紹介しずらかった。ただ、マカベーアの物語を単純に不幸でした、で片付けずに、どういう解釈ができるのか考えることが大事だと思った。ロドリーゴ、マカベーア、クラリッセ、いろいろな角度か -
Posted by ブクログ
『そしてあとは――あとは煙草に火を点けて家に帰るだけ。まったく、ぼくたちは死ぬということをやっと思い出した。でも――ぼくも! とりあえずいまはイチゴの季節だということは忘れずにいよう。そう。』
今年の翻訳大賞候補の一つということで読んでみた。図らずもここにもウクライナがついてまわる。1920年にロシア国内でのユダヤ人迫害を逃れて生後間もなくウクライナから亡命しブラジルに辿り着いた作家の、やや哲学的な一冊。
翻訳者のあとがきにもあるが、この物語が語られている主人公やその登場人物に起こる逸話が主題ではないことは読み始めて直ぐに気付く。一人称で語る登場人物が、一応物語の形式の中の主人公とおぼしき