捜索者
職を捨て、妻子とも別れて、一人でアイルランドの片田舎にある廃墟同然の家に越してきた、元アmリカの警察官カル。
廃墟同然の家をDIYで修繕しつつ、大自然の中で静かに暮らす第二の人生を模索実践していく中で、カルは見張られているような違和感に気づく。気配の正体はみすぼらしい格好をした13歳の子
...続きを読む供トレイ。
次第に距離めDIYを手伝うまでになったトレイは、ある日カルに「兄貴を探してほしい」と依頼する。
幸せとは決して言えない境遇に育ったゆえに、少々ヒネてる子供に大工仕事や家事を通じて、人生を教えるパターンは大好きな小説「初秋」リスペクトである(あとがきにも書かれている)。
もちろん…というか、この本の奥深さというか、単純にトレイの成長譚だけでは済まない物語で、そこにはカルの成長や人生の振り返りだけでなく、小さな村社会の良し悪し、人間関係の距離の取り方、荒涼でありつつ豊かな自然の描写、そしてもちろんミステリーとしての伏線回収など、それらの読みどころ全てが上手く調和してボリューム以上に雄大な小説となっている。
最後のページを読み終えた時「読んでよかったな」とじわじわ浸れた。そりゃまぁ面白い小説はどれも読んでよかったなぁ…なのだが、なんというか余韻の深さ濃さがなんともいえない心地よさなのだ。書評家、読書家連中に高評価なのも納得の1冊。