【概要】
世界の通信市場がGAFAの勢いに取り込まれる中、日本の情報通信産業としての目指すべき姿を、国内市場を牽引するNTTグループの次世代への取り組みを通じて考える
【内容】
NTT改革の柱
①グローバル経営の強化
②法人営業を中心とするグループ企業の再編
③インターネットの先を行く新しい
...続きを読む光情報通信基盤の構築
④エネルギーやスマートシティなど事業の多角化
⑤リモート型経営
1.再び世界ナンバーワンを目指す
・ahamoの登場
(背景)
競合への顧客流出/政府からの価格への圧力
(影響)
販売代理店ビジネスの変容/収益源の多様化
・ナンバーワンへのシナリオ
(背景)
NTTの海外展開への遅れ/GAFAの台頭
(方向性)
IOWN構想による海外戦略の強化
(内容)
インターネットに変わる高速で信頼性の高いネットワークの構築
ユースケース作り(スマートシティ/スマートファクトリー/エンタメ)
2025年第1次成長期創出 2030年普及期
B2B2X
・グローバル戦略
NTTインク創設/NTTリミテッド/NTTデータ
[ワンNTT]によるシナジー追及と世界市場における認知度向上
・宇宙データセンター
(宇宙ビジネスの状況)
ソフトバンクやKDDIも参入/6G時代における重要インフラ
(NTTの宇宙ビジネスプロジェクト)
①宇宙センシング②宇宙RAN③宇宙データセンター
2.進むグループ再結集
・ドコモ・コム・コム連合の誕生
(3社のビジネス)
ドコモ→移動通信サービス/個人
コミュ→固定通信回線/法人
コムウェア→ソフト開発/NTTグループ
(NTTの目指すDX事業)
SDPF:安心安全に使えるデータ利活用基盤
(連携の効果)
SDPFを核としたDX事業の推進/グループ内でのデータの利活用
・世界の研究所を再編
(背景)
通信事業者の技術開発を通信機器メーカーに依存する企業が増える
これを通信事業者の手に取り戻す戦略
(NTTリサーチ)
光の量子コンピューター/暗号ブロックチェーン/医療情報分野
・NEC、富士通と
(NEC背景)
世界市場で勝つためにメーカーとキャリアが一緒に通信技術を開発する必要性
オープンRANの普及促進活動
(富士通背景)
IOWN構想を進めるための半導体の開発
(展望)
光電融合技術を基地局に導入することでIOWN構想の中に世界のRAN市場を取り込んでいく
・三菱商事、トヨタと
(三菱商事背景)
次世代モビリティやスマートシティ実現のためのデジタル地図の必要性/物流DXの推進/再生可能エネルギー事業
(トヨタ背景)
HW主体ビジネスからSW主体へのビジネスモデル転換
(展望)
GAFAへの対抗
3.新事業でチャレンジ精神鍛える
・ローカル5G
(現状)
NTT東西、コミュが積極的に実証実験
(課題)
グループ各社がそれぞれローカル5Gを進めていくことへの非効率性
・再生可能エネルギー
(行動計画)
①継続的な省エネの取り組み
②IOWNの導入による電力消費量の削減
③再生可能エネルギーの導入拡大
・ドローン市場
(背景)
地方創生
(展望)
国産ドローンメーカーとしての最大手
世界進出/農業のスマート化/インフラ点検
・農業DX
(背景)
日本の農業経営事業者が半減/NTTアグリテクノロジー
(展望)
ICT活用による稼げる農業の実現
(課題)
グループ各社のビジネス統合/効率性
・スポーツ
(NTT東日本の取り組み)
eスポーツが法律や認識のギャップにより日本での普及が世界的に遅れている
→5G活用によるeスポーツ映像配信/地域活性化
(NTT西日本の取り組み)
リアルスポーツの映像配信
・不動産
(背景)
NTTグループが保有する公共性の高い土地や資産を活用
(展望)
不動産の利活用/スマートシティ事業
4.デジタル技術で経営改革
・リモート型社会
(展望)
30万人を超える社員を抱える組織での巨大な実験
ノウハウやサービスを新しい商品として外販
人口減少・地域分散・少子化問題など様々な社会課題をデジタル技術で解決
・新たな人事制度
(背景)
リモートワークの浸透による働き方の変化/自主性や成績評価の困難性
グローバル化によりメンバーシップ型の課題が浮彫
(取り組み)
ジョブ型雇用/中途採用の強化/女性管理者倍増計画
・セキュリティ
(背景)
リモートワーク/ゼロトラスト/ペーパーレス
エッセンシャルワーカーの作業のデジタル化
(実績)
NTTセキュリティの設立/東京オリンピックにおけるサイバー攻撃防御
5.NTTの未来占う情報通信政策
・NTT分割民営化の是非
(これまでの歴史)
1985年 民営化
1987年 NTT東西分割 コミュニケーションズ新設
1988年 NTTデータ
1992年 NTTドコモ
2021年 ドコモ完全子会社化
・デジタル庁発足
(官公庁向けシステムベンダー)
4社で調達額の6割
(今後の展開)
自治体を含めた提案/クラウド
・5G成功を左右する電波行政
・GAFA先行許した情報通信政策
(日本政府の背景)
情報通信産業の所轄が総務省と経産省に二分/民間企業の縦割り
(今後の展望)
省庁横断的な情報通信政策/様々な分野で出ずたるかを促す政策を推進し
GAFAに負けない日本の情報通信産業の姿を構築
・デジタル化で変化する代理店施策
(展望)
地域の情報サービスステーションという役割/エリアドミナント
6.2030年のグローバル情報通信市場
・日本市場に攻勢かける米IT大手
(MEC)
5G時代に必須なエッジコンピューティング/GAFA参入・高い親和性
(NTTの展望)
ドコモオープンイノベーションクラウド/宇宙データセンター構想
・世界規模で広がるGAFA包囲網
(規制)
個人情報保護、独占禁止法、デジタル課税
(NTTの展望)
データを所有しないという個人情報に対する異なったアプローチ/ラスベガスでの
スマートシティ構築
・情報通信市場を揺るがす米中対立
(中国の状況)
AI産業の発展計画/5G/IoTなど「中国製造2025」
(アメリカの対応)
ハイテク企業を対象とした制裁
(NTTの展望)
オープンRANの推進/5G・6G
・6G・IOWNで実現する新サービス
(5Gの状況)
中国に大きな後れを取る/産業分野を強化/AR・VR
(6G技術とは)
オールフォトニクスネットワーク/宇宙通信の活用/IOWNとの高い親和性
・2030年NTTグループの未来像
(背景)
強みとしていた光ファイバー技術がコモディティ化/B2B2Xモデル
(現在の戦略)
IOWN/グローバル戦略/法人開拓
(2030年の戦略)
IOWNの国際競争力強化/ワンNTTによる総合力の発揮
【感想】
学生時代から日常生活のインフラとしてSNSなどGAFAの産物を使ってきた私にとって、かつての日本の情報通信産業が海外企業をも席巻していたとは想像ができない。日本には次世代の生活を変える確固たる技術力があっても、流れを読めず遅れをとってしまったり世界市場から受け入れられないという現実があり、日本企業が再び世界市場で戦っていくためには企業間や自治体・政府を巻き込んだエコシステムの構築が必須であるということが分かった。