この本は、まったく難しい本ではない。
著者の体験と、各地方の“カレー”の特色、そして簡単なレシピが掲載されている。
各地方の“カレー”は、同じ名前で括っていいのかと思うほど多様。材料も違えば、見た目も違う。
そこに著者は、それぞれの特色がどうして生まれたのかを歴史的・地理的な背景を含めて説明してい
...続きを読むる。ここがこの本の最大の魅力だと思う。
例えば、ヴィンダールーというワインビネガーをふんだんにつかった料理は、もとはポルトガル料理だとのこと。
その背景には、この料理が生まれたゴアという都市が長らく(1961年まで)ポルトガルの植民地だったことが大きく関係している。
その歴史が無ければ生まれ得なかった料理なのだ。
身近なものにも歴史はある。
カレーを通して、インドの地理と歴史を見ることで、「食」からみる歴史は意外に深かった。
勝った負けただけで描く歴史よりよっぽど面白い。