作品一覧
ユーザーレビュー
-
Posted by ブクログ
児童養護施設の子どもたちの話。
花は、願いが届きもしないと知っていながら、ずっと母親への恋慕と、母からの愛情というものを欲していた。十年間、ずっと。
それはまるで、外の世界を知っていながら、綺麗に管理された水槽の中でぐるぐると回るしかない金魚のように。
花以外の彼らも、ある程度ものごとがわかるように成長したとき、それでもその小さな体で、なぜ血の繋がった家族と一緒に暮らせないのか、真実を知る。いたいけに、受け止めようとする。
そしてそれでも、本心では「母親」を求めている。自分のことだけを見てくれる「本当の家族」を。
突如施設で暮らすこととなった晴海。
強気なみっちゃん。
ぴかぴかなものと空想 -
Posted by ブクログ
児童養護施設を舞台にした小説。
主人公の花は、今年で18歳になり、高校卒業後には施設を出なくてはならない。自分の将来に対する不安や、施設で暮らさなければならなかったこれまでの人生に対する複雑な想いが、施設の子ども達やタカ兄との触れ合を通じて描かれている。
児童養護施設で暮らす子ども達は様々な事情を抱えている。いわゆる普通の家庭で育った私には、彼、彼女達のことはわからないんだと思う。何というか…わかったつもりになっているだけで、本当にはわかってない。
血の繋がった家族でも現実には理想郷のようなものではない。それでも、"家族"というのは、彼等が渇望して止まないものだ。
彼等 -
Posted by ブクログ
ネタバレ児童養護施設で暮らす花は、夏を迎えて18歳になった。翌春には施設を出るきまりだが、将来のことや遠く離れた母親のことで葛藤を抱えている。
――― (引用) ―――
家族とは、そんなに素晴らしいものだろうか。いつか読んだ本に、家族とは「自分から決して逃げない人」のことだと書いてあった。一度逃げられてしまった私たちは、この先その「家族」というものを、一体どう信じれば良いというのだろう。
――― (引用おわり) ―――
そんなある日、ぬいぐるみを抱えた女の子・晴海が施設にやってくる。複雑な事情を抱えながらも日々を懸命に歩む晴海の姿に、花はかつての自分を重ね合わせていることを知る。