ユーザーレビュー テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス カール・B・フレイ / 村井章子 / 大野一 まさに「自動化」の渦中にある現代テクノロジーにおいて「人々の仕事は機械に奪われてしまうのか?」「社会経済は、人々は、どうなってしまうのか?」という大問に、真正面から対峙した重厚な一冊。 古くは先史時代から技術革新の歴史を顧みながら、特に近代以降の大変革ーーイギリス産業革命並びに第二次産業革命ーーを...続きを読む敷衍し、これらがいかにして起こり、特に労働者に対してどのような影響を与えたのかについて考察を重ねていく。またこれらの決定因子として、2つの労働の型ーー「労働置換型」と「労働補完型」ーーを提示し、補助線とすることで、難題を柔らかく解きほぐしていく。 著者曰く、特にブルーカラーで起きている自動化はまさに「労働置換型」であり、これはかつてない規模で広範に起きていくということ。そして「労働補完型」のテクノロジーを活用する者のみが富む世界が、目前まで迫っているということ。 これらを整理した上で、終盤では特にアメリカ社会にフォーカスし、現在進行形で起きている格差の拡大、中流階級の喪失およびポピュリズムの台頭といった地殻変動へ論展開しながら、解決策を教育、"戦略的"BI、インフラ、住居規制等に求めていく。 日本社会でも同様に起き始めている世界的な構造変化であるだけに、世界最先端の論者の思考に触れることができて、月並みだけどものすごく勉強になりました。 Posted by ブクログ テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス カール・B・フレイ / 村井章子 / 大野一 民主主義社会である以上、テクノロジーの進退は大衆がその恩恵を享受できるかどうかによって、ゆっくりと決まっていく。 蒸気や電気など、汎用的な過去のテクノロジーは発明されてから広く受け入れられるようになるまで時間がかかった。 また、受容されてから大衆にそのメリットが及ぼされるには数世代の時間がかかる。 ...続きを読む人々はテクノロジーのメリットを短期的には過大評価し、長期的には過小評価する。 キーワード:資本家、国家、政府、労働者、中流階級 鉄、鉄道、蒸気、自動車、電力の発明 Posted by ブクログ テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス カール・B・フレイ / 村井章子 / 大野一 テクノロジーの進化について、古代ローマのテクノロジーからラッダイト運動を経てAI失業まで、一貫性のある説明がされており、目を見開かされる。 Posted by ブクログ テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス カール・B・フレイ / 村井章子 / 大野一 ◯ 政治的支配力をすでに握っている者にとって、ほとんどの場合、創造的破壊という不安定化プロセスには何の利益もない。(48p) ◯ 短期の問題には政府が慎重に対処すべきだ。イギリスの産業革命を生きた多くの人々にとって、短期とは一生を意味した。(524p) ◯ 自動化がまだきわめて困難な対人サービス...続きを読む業は多岐にわたる。そうした仕事は、お金に余裕のある人が多い高スキル労働者の集まる都市で創出されると考えるのが自然だ。(543p) ★技術の進歩は万人にとって良いことであり、ラッダイト運動は誤解に基づいた間違った行為というふうに思い込んでいた。しかし、進歩の恩恵に与れない人々にとっては、当然に合理的な行為であったのだ。 ★AIの発展も、何の政治的な対策もしなければ、社会に混乱をもたらす。 Posted by ブクログ テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス カール・B・フレイ / 村井章子 / 大野一 具体の話が少し頭に入ってきにくい感じがあったので、機会があれば再読を頑張りたい。 第一次産業革命では、ラッダイトと呼ばれる機械を壊して抵抗する労働者が現れたりして、イノベーションに対するアレルギー反応ようなものがでたりするが、最終的には全ての人に技術革新の恩恵が行き渡ることもあり、受け入れられてき...続きを読むた。 ただ労働置換技術によって仕事を失ってしまった人たちが、恩恵を受けずに人生を終えてしまうようなことが第二次産業革命の際にも起きており、政治経済の面からのフォローが必要である。 自分個人としては、イノベーションにいち早く適応し、自身のスキルとして使っていかなければ、ならないと思う。 Posted by ブクログ カール・B・フレイのレビューをもっと見る