移民の是非を考える時に争点となるいくつかのポイントについて、経済学の観点から考える本。特に面白かったポイントをいくつか。
・移民を受け入れると雇用環境は悪化するか?→移民と"競合"しない人は賃金が下がらない。
・移民が子育てや介護サービスにおける人手不足を補い、日本女性の社会進出を促進するか?→
...続きを読むそうしたサービス料を支払う余裕のある高賃金の人はその料金をペイできるほどに生産性のある仕事ができるため、女性活躍は促進される。
⇒少子高齢化が進み労働人口が減少するなかで、移民を受け入れることによるマンパワーが必要なのでは?と思うことがあるが、受け入れた場合移民と"競合"してしまう国民にとっては厳しい展開が待ち受けているのかもしれない。移民のマンパワーに取って代わられないほどに高技能、高学歴、高レベルの資格等、高いスキルがある人にとっては寧ろ良いが、取って代わられる可能性のある人にとっては自分のポジションを脅かすこととなる。そうなると今まで以上に日本人同士の間の格差が拡大する可能性はあるのかもしれない。
また、本書では触れられていなかったが、日本は将来的に「移住したい国」で在り続けることができるのだろうか。「安全で住みよい国」として選ばれることはあったとしても、「稼げる国」として選ばれるだろうか。中国やシンガポール等、わざわざ海を渡らなくても賃金が上昇傾向にある国が他にあって、平均賃金の上がらない日本に移民はやってくるだろうか。…というそもそも論を考えてしまった。