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米山公啓
1952年山梨県生まれ。作家、医学博士。専門は神経内科。聖マリアンナ医科大学第2内科助教授を98年2月に退職。診療を続けながら医療エッセイ、医学実用書、医学ミステリーなど幅広く著作活動や講演を行なっている。現在まで著作は200冊を越える。「よねよね倶楽部」というファンクラブを運営
...続きを読む。ホームページは毎日更新し、メールマガジンの配信も行なっている
仕事やらなにやらで頭がゴチャゴチャになったとき、気分転換に散歩に出ると、なんとなく脳が元気になったような気がします。場合によっては、それまで悩んでいた問題の解決策が、散歩から戻ってきた途端に、ピンとひらめくこともあります。
1日 30 分以上の歩行が脳を守る——米国アルツハイマー病協会が提唱
実際、米国アルツハイマー病協会が提唱する「脳を守る 10 の方法」の1項目として、「1日 30 分以上の歩行」が提唱されています。
足を動かすことで脳への血流が増える
その結果、運動をしなかったグループで風邪を発症する確率が2倍となり、また、 30 分間の歩行で、感染を防ぐのに大切な白血球の増加も見られたとしています。 歩くことで外気に触れます。その結果、皮膚や粘膜が強化され、基礎体力、免疫力が向上。体質が改善され、風邪をひきにくくなると考えられます。
歩くことは、ストレスの発散にもなります。 それは、私自身、ウォーキングをはじめるようになって、実感しています。 歩きはじめる前は、「面倒だな」と思っても、歩き出して 15 分くらいたつと、だんだん歩くことが楽しくなっていくのです。
歩くことは、うつ病にもプラスだという専門家の意見もあります。 一般に、うつ病のときは、無理に運動などしないでそのままにしておくほうがいいといわれています。 でもその一方で、「積極的に運動をすることで、うつ病もよくなる」という説もあるのです。うつ病患者の方の手記などを読んでも、気分がいいときにからだを動かすことで、うつ状態が改善していったというケースが少なくありません。
からだを動かすことで、前頭葉が刺激されます。そのことは、うつ病にとって決してマイナスではありません。それどころか、プラスに働く場合も多々あります。
ウォーキングというと、ついつい、「健康のため」「ダイエットのため」と、目的を限定してしまいがちです。しかし、ちょっとした一工夫で脳を刺激する時間に変えることもできるのです。
ところが、ウォーキングをしていていちばん気持ちがいいのは、むしろ冬なのです。たしかに、冬の寒い日、歩きはじめてしばらくの間は寒さが身にしみます。ところが、その寒さを乗り切ると、次第にからだが温かくなり、寒さを感じなくなります。
「ウォーキングをはじめよう!」と決意をしたら、通勤やお出かけの際、家から最寄りの駅、バス停まで歩くことからスタートしてみましょう。 実際に歩いてみると、「歩いていくのは無理」と思っていた場所が、意外に歩ける距離だと気がつきます。
● 電車を待ちながらホームを行ったり来たりする。 ● 車内を最前列から最後列まで歩く。 ● 歩く楽しさで、気持ちがワクワクしてくる。 ● 人間ウォッチングや、情報収集ができる。
本格的なウォーキングと一言にいっても、散歩程度のものから、かぎりなく登山に近いハードなものまで、レベルはさまざま。 ウォーキング初心者は、足慣らしに、まずハイキングからはじめてみるとよいでしょう。 ハイキングとは、自然の風景や歴史的な景観を眺めながら歩くことです。登山などよりも気楽なため、軽装で楽しめます。
定年退職を迎えられた方が人生の一区切りとして、1回でまわってしまうというケースもあるようですが、一般的には1週間程度の休みをとって部分的にまわり、数年かけて 88 カ所をお参りし終える方が多いといえます。
森のなかの木の香りや枝葉のざわめきの音などが、精神的なストレスを解消してくれます。森林浴は、からだにも心にも効果抜群なのです。
ウォーキング中は、このようにアイデアが浮かびやすくなりますから、タイトルや新しい企画を考えるにはうってつけなのです。
歩数計の力、数字の力は偉大なり! 第2章でも述べましたが、歩数計はウォーキングをする上で必需品です。 歩数計の最大の魅力は、歩く意欲を与えてくれること。