「どのようにデザイン思考を実践するか」というノウハウを求めているならば、この書籍は適切ではない。
具体的なプロセスであったり、始め方を紹介するようなものではないからだ。
本書にはデザイン思考がもつ本質〈目の前の課題をより大きな文脈で捉え、反復的に試行していくこと〉と、いくつかの成功事例、そしてここ
...続きを読む10年の大きなうねりに対しての考察が書かれている。
度々指摘されていることだが、デザイン思考はソフトウェア開発における「アジャイル開発」といくつかの共通項がある。
顧客との対話を重視する、反復的に少しづつ進める、本当に必要なものを探求するといった価値観だ。
そのため意外とソフトウェアエンジニアにとって馴染みやすい概念かもしれない。
繰り返すようだが、こうやってデザイン思考を始めよう、という教本のようなものではない。いくつかの事例の中から浮かび上がる本質を掴み、その思考様式を自分の中に落とし込んでいくという向き合い方がよいのではないだろうか。