作品一覧
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4.0魂のための味覚、そして魂のための栄養素。それが人間にとっての「食」なのだと実感した。――ヤマザキマリ ねたましい!これはぼくがするはずの旅であり、食べるはずの料理だ。ベイルートにつながるバグダッドの味、イスファハンの味。会ったことはないが、この作者は(彼女が認めてくれるなら)ぼくの分身である。――池澤夏樹 カタストロフを生き抜く食の力と、心揺さぶる街の記憶。五感のアーカイブとしての料理を描く珠玉のルポルタージュ・エッセイ。 「料理の話をしてください」。戦争の傷跡が色濃く残る街で、翻訳家・作家の著者は人々が語る食べ物の話を聞く。多彩な声と仕草で語られる物語は、万華鏡のように街の肖像を描き出す。異なる民族、宗教、文化をもつ人々が一堂に会する理想の食卓は可能なのか。ベイルート、パリ、東京を往還しながら紡ぐ、多様性に満ちた「食」の思考。 フランスで刊行され高く評価された作品を著者自ら邦訳した待望の書。
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
パリ在住の著者がレバノンの大都市ベイルートに滞在し、「他者を内部に入れる」行為である食事と料理を通じて考えた、街と戦争と生活にまつわる321章。
フランス語の著作が高く評価されているパリ在住の日本人が書いたレバノン滞在記。本書も元々フランス語で発表したものを著者自ら日本語に書き換えている。
関口さんは1ヶ月半のベイルート生活にあたり、料理をテーマに本を書く決めた。滞在中は自炊せず、三食すべて土地の人と同じものを食べたという。他国での食事は「他者を自らの内部に入れ、受け入れられるか否か」を問う行為だからだ。
並行してレストランガイドも作ったというから沢山の店に行ったのだろうが、本書はその食体