作品一覧
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
政治思想史家の若尾さんが百姓一揆というでかいタイトルで新書を出すという事で喜び勇んで買った。内容は、さすがに近世史の第一線のかたなだけあって序盤で上手に百姓一揆についての近年の研究の成果をまとめてくれている。途中からは本人も言っているがおそらく『太平記』読みの時代的な(こちらは積読)話が中心になってきている。まあ、序盤とまとめだけでも、百姓一揆についてコンパクトに学びなおせたので良かったと思います。なお、思想史家だけあって、百姓一揆の事件というよりかはテクストとしての、または史料に描かれた百姓一揆像ないしは伝承されたことについて重きを置いている。最後の方で須田努氏の研究に触れられて、幕末期の悪
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Posted by ブクログ
江戸時代の百姓一揆に体制変革の可能性を読み取る階級闘争史・人民闘争史的歴史像は、学界ではすでに過去のものとなっているが、一般通念においては依然として反体制武力蜂起と見做すイメージは根強い。本書はこの40年ほどの百姓一揆研究の変容・転換の流れを整理し、改めて現在の研究水準に基づく新説を紹介しつつ(一揆は幕藩体制の維持を前提とした「仁政」を求める訴願である、「竹槍」や「筵旗」のイメージは近代の創作である、「義民」的な代表越訴型一揆は史料根拠がない)、表象としての「百姓一揆物語」の形成過程や伝播過程の分析を中心にして、一揆とその背後にある近世社会の深層に迫っている。百姓一揆の「語り」への『太平記』