生徒自身が題材を決め、問いを立て、調査・プロジェクトを進めていく「探究学習」の指南書。論文の書き方や資料の探し方といった技術的なことの説明だけでなく、そもそも自分自身が本当に興味のある「マイテーマ」をどのように見つけていけばよいか、その道のりを示しているところがよかった。
最も共感したのは、探究学
...続きを読む習のテーマ探しは、「自分は何者なのか?」という問いに答えることだという考え方だ。漠然とこういった分野に興味がある、こういう感じのことについて調べてみたい、といったイメージがあっても、では具体的に何に対して、どんな問いを立てるのかを考えるのは、実は、大人になっても難しいと感じている。自分が本当に調べたいと思うテーマを見つけて、言葉にすることが、一つの自己理解だというスタンスは、とても共感した。そのときに大切なことが、まずは手当たり次第読み、自分のコメントをしていくことだとしていることも、具体的で分かりやすいヒントになる。
特に参考になったのは、第2章で紹介されているテーマになりにくいテーマと、第5章の探究が上手くいかない学習者のスタンスだ。普段、子どもに授業をしているときに、子どもから出てくる疑問や問いに、それは考えても授業としてはあまり実りがないな……、と感じることが多々あるが、この2章は、テーマや問いに対する、そうした直感を上手く言語してくれている。
単純なハウツー本でなく、探究することに対するスタンスを自分自身、考え直すきっかけになる一冊だった。